iZotope Ozone6とは
iZotope社がリリースする
DTM用の
マスタリング・ツールです。
DAWにインサートすれば
プラグインとして動きますし、最新の
Ozone6からは
スタンドアローンでも動作するようになりました。
このOzone6は、
- Equalizer(イコライザー)
- Exciter(エキサイター)
- Imager(イメージャー)
- Dynamics(ダイナミクス)
- Post Equalizer(ポストイコライザー)
- Maximizer(マキシマイザー)
といった、マスタリングに必要不可欠な
エフェクトが一つのプラグインにまとめられています。
楽曲のステレオ感を調整したり、全体の音のバランスをイコライザーで整えたり、マキシマイザーで最終的な音圧コントロールをすることも、このOzone6ひとつで完結してしまいます。
※Ozone6の画面使いたいエフェクトだけを使うことも出来ますし、エフェクトをかける順番も自由に入れ替えることが出来ます。
操作は直感的に行えるので、
DTM初心者の方でも扱いやすいのではないでしょうか。
また、マスタリングと聞くと「難しそう」と感じる方もいらっしゃると思いますが、楽曲のクオリティアップには必ず必要な作業です。
もちろんDAW付属のプラグインを組み合わせて使うことでマスタリング作業を行うことが出来ますが、より効率的に、かつ合理的に作業するのであればマスタリングプラグインは1つ持っておくとよいと思います。
このOzone6には
50種類以上のテンプレートが用意されているので、馴れないうちはテンプレートからイメージに近いものを選び、調整していく…という使い方も出来ます。
iZotope Ozone6のラインナップ
iZotope Ozone6には、2つのラインナップが用意されています。
スタンダードな
Ozone6と、さらに機能が強化された
Ozone 6 Advancedです。
Ozone6とOzone 6 Advancedの違いですが、Advancedには
ダイナミック・イコライザーという新しいエフェクトが加わっています。
※Dynamic EQ画面これは、イコライザーのように特定の周波数帯にピンポイントでコンプレッサーをかける機能を持つエフェクトとなっているようで、特定の周波数帯が出っ張っている箇所を抑えたりすることが出来るようです。
マルチバンドコンプレッサーに近い役割を担うエフェクトと考えてよいかと思います。
さらにAdvancedには
Insightという
メータリングスイートが含まれています。
これは単体で市販されてもいて、レベルメーターやラウドネスメーター、スペクトログラム、ベクトルスコープ、サラウンドスコープなどの各種のメーターを備えています。
※Insightの画面耳では確認しづらい細かい音を視覚的に表示し、ミックスに問題がありそうな場合にすぐに検出することが出来ます。
トラックやバスからのルーティングも可能なので、より細かい分析が出来るのも特徴と言えます。
また、Advancedの特権としてはOzone6 Advancedに含まれる6種類のエフェクトを単品で収録したプラグインも同梱されます。
様々な機能強化が施されたOzone6 Advancedですが価格が約10万円ということもあり、3万円以下で買えるOzone6と比べると少し高額なような気がしますね。
個人的にはスタンダードなOzone6の方がコスパに優れていると思うので、Ozone6についてもう少し深く機能を観ていきたいと思います。
イコライザー(Equalizer)
※画像をクリックすると拡大イコライザーは全部で8バンド仕様出来ます。
数値を入力して設定も出来ますが、画面上の③や⑤などのイコライジングポイントをクリックやドラッグすることでQやゲイン等を直感的に調整することが出来ます。
マスタリング・プラグインということもあり、ステレオLRだけでなく、
MS処理が出来るのもポイント。
MS処理とは簡単に説明すると、2MIXのセンター部分(Mid)とサイド部分(Side)を個別に処理することです。
MS処理をすることで、楽曲のワイド感を強調することができ、音圧も上がったように聞こえます。
Ozone6のイコライザーもMS処理が出来るので、
Mid部分と
Side部分を個別にイコライジングすることが出来るようになっているのです。
通常のステレオLRに比べると作業量は倍になってしまいますが、そのぶん曲の質感や迫力がでるのでMS処理をやったことがない方は是非やってみて欲しいです。
それに加えて、Ozone6のイコライザーは
5タイプ17種類のシェルビングを選ぶことが出来ます。
シェルビングタイプは8バンド全て自由に設定できる上、
Analogと
Digitalモード切り替えや
Surgicalモードを搭載しているので、非常に細やかな音づくりが可能になっています。
また、
ポストイコライザーも同様の事が出来るので、Ozone6上でイコライジングして、コンプやステレオイメージングで音を作りこんでから、さらにイコライザーをかけて微調整することが出来るようになっているんですね。
エキサイター(Exciter)
※画像をクリックすると拡大エキサイターとは、元の音を崩さずに倍音を加えて音の輪郭をクッキリ、煌びやかにするエフェクターです。
Ozone6のエキサイターはイコライザーと同様にMS処理が出来るので、MidとSideでエキサイターのかけ具合を変えられるのが特徴。
エキサイター自体は4バンドまで設定することが可能で、
Warm、Retro、Tape、Tube、Triode、Dual Triodeの6つのモードからエキサイターの種類を選ぶことが出来ます。
もちろん
クロスオーバーも自由に設定できるので、非常に使いやすい作りになっています。
Ozone6に搭載されるエキサイターは音の輪郭をクッキリしてくれる非常に強力で頼もしいエフェクトなので、Mixやマスタリングで音が埋もれて困っている…という人にこそ是非使って欲しいエフェクトです。
また、Ozone6のエキサイターには
フィルターも搭載されているので、任意の帯域でカットすることも出来ます。
フィルターモードに切り替えると、どの帯域の音が強調されているかを視覚的に確認することが出来るようになっていました。
耳だけでなく、視覚的にエフェクトのかかり具合が確認できるのは非常にありがたいですよね。
イメージャー(Imager)
※画像をクリックすると拡大イメージャー、すなわち
ステレオイメージャーですが、Ozone6では4つの帯域に分けてステレオライズが可能です。
エキサイター同様にクロスオーバー可変で帯域に応じてステレオ感を強調したり抑えたりすることが出来ます。
また、
Polar Sample、Polar Level、Lissajousの3つのベクトルスコープを備えているので、メーターとしての機能も備えています。
音にワイド感を出すというよりかは、左右に振られた音像の音量を上げることでステレオ感を出すものと思っていただいた方が良いかと思います。
PANを振ったトラックの音色が強調されるので、センターに定位している音とのバランスを聴きながら調整すると良いでしょう。
こうすることで曲全体の音圧が聴覚的に上昇すると思います。
ダイナミクス(Dynamics)
※画像をクリックすると拡大ダイナミクスは、
マルチバンドリミッターと
マルチバンドコンプレッサーの両方のエフェクトを備えています。
スレッショルド、レシオ、アタック、リリース、ニー、ゲインなどを4バンドそれぞれ細かく調整することができ、今どれぐらいコンプレッサーが聴いているのかをビジュアル化して表示してくれるので、「コンプレッサーが苦手」という人でも視覚的かつ直感的に操作できます。
こちらもMS処理が可能なので、MidとSideでそれぞれ違う圧縮率で音をコントロールすることができます。
最終的には
マキシマイザーで音圧を上げていくことになるので、コンプレッサーは薄くかけても十分に効果が期待できます。
2Mixで音の出すぎた部分の調整やコントロールに使うのがメインになると思いますが、Ozone6自体はマスタートラックにしか使うことが出来ないわけでは無いので、例えばドラムトラックにOzone6をインサートしてドラムの音色を整えたりする際にも使えます。
マキシマイザー(Maximizer)
※画像をクリックすると拡大Ozone6に搭載される
マキシマイザーは
IRC(Intelligent Releace Control)という技術を用いて非常にナチュラルに音圧を稼ぐことが出来ます。
IRCⅠ~Ⅲでそれぞれアルゴリズムが違っており、
スムーズ、シャープ、サージカルリミッティングと音質に違いがあります。
使い方は非常に簡単で、基本的にはスレッショルドを下げるだけで自然に音圧を稼げます。
画面上部にはどの程度エフェクトがかかったかをリアルタイムで表示してくれるので、音圧の上げすぎなどを視覚的に確認できます。
Charactorや
StereoUnlink 、
Transient Emphasis等の項目では音の立ち上がりや減衰などを微調整することが出来るので、最終的な仕上げの際に使用するようですね。
Ozone 6のおすすめポイント
さて、ここまではOzone6に搭載されているエフェクトについて説明をしてきましたが、最後にマスタリングプラグインとして非常に嬉しい機能をひとつ紹介しておきましょう。
History機能を搭載
Ozone6には、個人的にも非常にありがたい
History機能を搭載しています。
マスタリング作業をやったことがある人ならわかりますが、音を聞きながらエフェクトの値を微調整しながら、楽曲全体の質感や音のバランスなどを整える最終的な仕上げです。
そのため、「調整したけどさっきの方が音が良かった」なんてことも出てくることがあると思います。
そんな時に役立つのがHistory機能です。
調整した
作業履歴がOzone6上に残せるので、必要に応じて任意の箇所から戻って作業することが出来ます。
また、履歴にはA~Dまでの履歴ポイントを残せるので、「あの場所からやり直したいけど、どこからだっけ?」というような煩わしさからも解放されます。
A~Dのボタンを押せば、その時の作業内容に調整した値へ履歴を上書きせずに変更してくれるので、AのポイントとDのポイントで音を聞き比べて、やり直したりすることも可能になりました。
なにより嬉しいのはDAWを一旦閉じても履歴が残っていることです。
パソコンの電源を落としてから立ち上げても履歴が残っているので、日にちをかけてマスタリングするときも、履歴から作業をやり直せるので非常に嬉しい機能です。
まとめ
今回はマスタリングプラグインとして非常におすすめのiZotope Ozone6を紹介させていただきました。
マスタリングに必要不可欠なエフェクトを搭載し、エフェクトの並び順も自在で自由度が高く、プリセットも豊富なのでDTM初心者にも優しい作りになっています。
視覚的にもわかりやすく直感的に操作ができるので、エフェクトが苦手な方でも扱いやすいのではないかと思います。
また、マスタートラック以外にもインサート出来るので、埋もれがちな音色のトラックにインサートしてエキサイターをかけてあげたり、ドラムなどのパートにマルチバンドコンプを使ったりと、非常に幅広い用途に使えます。
僕が今まで作った楽曲の殆どはOzoneを使用してますし、これからもOzoneシリーズは使い続けると思います。
iZotope Ozone6は価格もプラグインの中では安い部類だと思いますし、今までDAW付属のエフェクトしか使ったことが無い方や、マスタリングプラグインをお持ちでない方には、是非一度使ってもらいたい製品のひとつです。
製品の紹介動画がありましたので興味がある方はご視聴ください。
製品情報
最後に、iZotope Ozone6の動作環境をまとめておきます。
WindowsMacOS- MacOS X 10.8 ~ 10.10
- Intel Macのみ
■対応プラグイン- RTAS
- Audio Suite
- Audio Units
- AAX 64bit
- VST3
- VST2
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