オーディオインターフェイスを購入したものの、付属する音声編集ソフト(DAW)の使い方がわからなくて、結局Audacityを使っている…なんて方も多いみたいですね。
Steinbergのオーディオインターフェイスや、Scarlett Studioなどの製品には高音質な録音から、MIXまでできる優れたCubase LE版、AI版といったDAWが付属していますが、使わずに眠らせているのはもったいないと思います。
Cubase LE、AIとは?
Cubase LE、AIとは、
Steinbergが提供する
DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)のことです。
DAWとは簡単に言ってしまうと音楽制作ソフトウェアのことで、
DTM(デスクトップミュージック)などパソコンやタブレットを使って行う音楽制作のためのツールと思って頂いてよいでしょう。
このCubase LEやAIもDAWですので、ボーカルや楽器の録音や、録音したオーディオデータの編集、MIX等が行えます。
「
Cubase LE 7、AI 7にVSTを追加してフリーエフェクトを使う方法!」の記事でも紹介しましたが、搭載されている
エフェクトを使ってリバーブやコンプレッサーなどで音を加工することはもちろん、
VSTというプラグイン規格に準しているエフェクトであればCubaseに追加して使用することが出来るので、非常に使い勝手の良いDAWとなっています。
Cubase LEシリーズはSteinberg社以外のオーディオインターフェイス等のバンドルに、Cubase AIシリーズはSteinberg社やYAMAHAの提供するオーディオインターフェイス等のハードウェアにバンドルされています。
Cubase LEとAIの違いについては全て紹介できませんが、歌ってみたで使う際に比較対象となりそうな項目をいくつかピックアップしてみると、以下のとおりになります。
■Cubase LE 7- オーディオトラック数:16
- 搭載エフェクト数:18
- サンプリングレート:96kHz
■Cubase AI 7- オーディオトラック数:32
- 搭載エフェクト数:28
- サンプリングレート:192kHz
扱えるオーディオトラック数や搭載エフェクト、サンプリングレート等に差があるものの、ボーカルの録音や曲とのMIXする作業では、どちらも必要十分な機能ではないでしょうか。
Cubase LEでの設定について
それでは、さっそく
Cubase LEの設定について順を追って説明していきましょう。
LEもAIも設定方法は同じですのですが、ここではCubase LE 7を使います。
設定を行うにあたり、Cubase LEとお使いの
オーディオインターフェイスのドライバーをインストールしておきましょう。
デバイス設定を行う
お使いのパソコンにオーディオインターフェイスを接続して、CUbase LEを立ち上げます。
すると以下のような画面が開きます。
どれを選んでもいいのですが、今回は“default”で始めます。
デバイス設定は画面上部のメニューバーから[デバイス(V)]を選択。
さらに、
[デバイス設定]へ進みます。
デバイス設定ウィンドウが開いたら、
「VSTオーディオシステム」の
「ASIOドライバー」を選択しましょう。
ここを選択すると、お使いのオーディオインターフェイスのASIOドライバーが表示されていますので、そちらを選択し
[切り替え]を行ってください。
僕の場合は、“Focusrite USB 2.0 Audio Driver”になっています。
ASIOドライバーを選択すると、先ほどの「VSTオーディオシステム」の項目の下に、お使いのオーディオインターフェイスのドライバー名が表示されています。
ここでは、オーディオインターフェイスの入出力の確認と、
[コントロールパネル]から
バッファーサイズ等の設定ができます。
バッファーサイズは小さくすることで
レイテンシーと言われる音の遅延を少なくすることができます。
バッファーサイズは小さいほうが良いですが、パソコンの処理能力を超えた設定をするとパソコンがブルースクリーンになったり、音が飛んだりすることがあります。
まずはデフォルト状態で使ってみて、遅延が気になるようでしたら少しずつ調整をするほうが良いでしょう。
オーディオの入出力を設定する
初めて使うときや、新しい機材を取り入れたときは、
オーディオの入出力設定が必要な場合があります。
マイクから音を拾ってくれない、録音できない、ヘッドホンから音が出ない等の症状があるときは、この項目を確認してみてください。
オーディオの入出力の設定は、先ほどと同じくメニューバーの
[デバイス(V)]を選択。
今度は
[VST コネクション]を選択してください。
[VST コネクション]を開くと、入力、出力の設定画面が開きます。
「デバイスポート」がお使いのオーディオインターフェイスの入出力になっているか確認してみましょう。
ここで、[未接続]と表記されている場合は、入出力が割り当てられていないということなので、[デバイスポート]の黄色い部分を選択して、接続先を選択してあげます。
歌ってみたを作ってみよう
それでは、本題の歌ってみたをCubase LEを使って作ってみましょう。
ボーカルの録音は
オーディオトラックを使用します。
まずはオーディオトラックの作成を行いましょう。
メニューバーから[プロジェクト(P)]⇒[トラックを追加(A)]⇒[Audio...(A)]を選択。
もしくは、トラックリスト上で右クリックでもトラックの追加ができます。
すると次のようなウィンドウが開きますので、
[Mono]を選択してください。
そうすると、プロジェクト上にオーディオトラックが作成されています。
トラックの高さは、トラックリストでドラッグすると広げることも出来るので覚えておくといいでしょう。
録音をしてみよう
先ほど作ったオーディオトラックはそのままでは録音できません。
録音するためには、トラックリストの
録音ボタンをアクティブ(赤色)にしておく必要があります。
また、マイクからの音を拾っているかモニターしたいときには
モニタリングボタンをアクティブ(橙色)にする必要があります。
ここをチェックした状態でマイクに向かって音を出してみましょう。
レベルゲージが反応すれば、マイクの音を拾っているということになります。
ここがポイント!
録音できない場合、いくつか初歩的な原因が考えられます。
- マイクのスイッチが入っていない
- オーディオインターフェイスのGAINが絞ったまま
- オーディオインターフェイスが接続されていない
等がありますので、しっかり確認しましょう。
録音を開始するには、
トランスポートパネルの
録音ボタン[●]を押します。
このトランスポートパネルではテンポや拍子の設定も行うことができます。
歌う曲のテンポや拍子がわかる場合には入力しておくといいでしょう。
録音ボタンを押すと早速録音が開始されます。
また、録音を始めるときは
巻き戻しボタンで頭出しをするクセをつけるといいと思います。
録音している間も、オーディオトラックには音の波形が表示されていきます。
録音を終了する場合は、
停止ボタン[■]を押して下さい。
ここで録音中にトランスポートパネルに赤ランプが点くようであれば、入力した音が大きすぎます。
入力した音が大きすぎて赤ランプが点く状態を
クリップと言い、ノイズが乗ってしまいます。
実際の録音前にクリップしない程度にオーディオインターフェイスのGEINを絞ってください。
オーディオをインポートする
歌ってみたを作る場合は、オリジナル曲の
カラオケ音源(off Vocal版)が必要ですね。
カラオケ音源の用意の仕方は「
歌ってみたのカラオケ音源の用意の仕方と著作権」の記事を参考にしてください。
用意したカラオケ音源をCubaseに読み込む方法ですが、先ほどと同じように
オーディオトラックを作成します。
カラオケ音源用のオーディオトラックは
[Stereo]を選択してください。
続いてメニューバーから
[ファイル(F)]⇒[読み込み(L)]⇒[オーディオファイル...(A)]
を選択します。
そうするとブラウザが開くので、用意したカラオケ音源を選択します。
するとAudio 02のトラックにカラオケ音源が読み込ますので、トランスポートパネルの再生ボタンを押して、ちゃんと再生できるか確認しておきましょう。
カラオケ音源に合わせて歌を録音しよう
ここまで出来れば、あとはカラオケ音源に合わせてボーカルを録音するだけですね。
最初に作ったボーカル用のオーディオトラック(Mono)をトラックリストで選択し、トラックリストの録音ボタンがアクティブになっていることを確認して録音を開始してください。
録音が済むと以下のようになっていると思います。
さっそく再生してみましょう。
カラオケ音源と歌がちゃんと同時に再生されていると思います。
ですが、カラオケ音源と曲の音量バランスが取れていないのではないでしょうか?
そこで、MIXが必要になっていきます。
MIXしてみよう
カラオケ音源とボーカルの音量バランスが悪い時は、Cubase LEに搭載されている
ミキサーで調整しましょう。
ミキサーは
メニューバーの[デバイス(V)]⇒[MixConsole(I)]を選択すると開きます。
ミキサーのAudio 01がボーカル、Audio 02がカラオケ音源になっています。
もちろん任意の名前を付けることができます。
ミキサーの縦に伸びるスライダーで各トラックの
ボリュームを調整することができます。
再生しながらでも調整できるので、実際に耳で聞きながらちょうど良いバランスを探してみてください。
注意事項としては、MixConsoleの一番右端には
Masterと書かれたトラックがあります。
Masterの値が0.0dbを超えてクリップしないように、ボーカルとカラオケ音源のボリュームでバランスを取ってください。
ここで、ボーカルの音量が小さすぎてスライダーを目いっぱい上げてもバランスが取れない場合、録音時にオーディオインターフェイスのGEINを絞りすぎている可能性があります。
小技として覚えておいてもらいたいのが、
オーディオのノーマライズという処理。
録音したオーディオデータがクリップしていない場合に限りますが、オーディオの音量をクリップ手前まで大きくすることができます。
オーディオのノーマライズはメニューバーから
[Audio]⇒[処理]⇒[ノーマライズ]を選択。
0.00dbがクリップ値ですので、-0.10ぐらいにするとちょうど良いと思います。
ただ、この方法はボーカル以外の雑音も大きくしてしまうので、使用する際は注意しましょう。
以上のような手法で、ボーカルとカラオケ音源のバランスをとったら、いよいよ
ミックスダウン(合成)になります。
ミックスダウンしてみよう
ボリュームのバランスが整ったら、いよいよボーカルとカラオケ音源を合成して、ひとつのオーディオファイルにします。
ミックスダウンをするまえに、
オーディオとして書き出す範囲を指定してあげる必要があります。
範囲の指定は、オーディオトラックの上部にある三角で決めることができます。
※トランスポートパネルでも設定できますミックスダウンはメニューバーから
[ファイル(F)]⇒[書き出し(E)]⇒[オーディオミックスダウン...(A)]を選択します。
すると、以下のような画面が開きます。
曲のタイトルと書き出す場所を指定。
ファイル形式は
Wave ファイルが一番高音質です。
サンプリングレートは44,100kHzビット深度は16bitに設定したら、
[書き出し]ボタンを押してください。
10秒程度で書き出しが完了すると思います。
無事にミックスダウンできましたか?
これで貴方の「歌ってみた」が完成です。
エフェクトを使ってもっと高度なMIXをしたい方は
記事「歌ってみたとMixの美味しい関係」を参考にしてみてください。
また、動画との合成は
記事「簡単!歌ってみた曲と動画を合成する方法まとめ」でやり方を紹介していますよ。
あと
「作成した“歌ってみた”が他の人と音圧が低くて音が小さく聞こえるのですが、どうしたらいいのでしょうか」といった質問を多く頂きます。
回答としては、音圧を上げるためにはMIXを勉強しないといけません。
イコライザーやコンプレッサーなどのエフェクトを活用しないと、迫力のあるボーカルトラックは作るのが難しいです。
歌い手さんの中にはMIXを勉強していらっしゃる方も多いようですし、MIXを専門に請け負っているMIX師さんにお願いするのも一つの手かもしれません。
そこまで本格的には…と思う方は、
「Cubase LE 7、AI 7にVSTを追加してフリーエフェクトを使う方法!」という記事で、W1というフリープラグインをCubase Leで使って音圧を上げる方法を紹介しているので、興味のある方は読んでみてくださいね。
まとめ
今回はご要望の多かった、
Cubase LE、AIを使って歌ってみたを作る方法を紹介しました。
Cubase LEやAIは、シェアウェアに比べると機能は必要最小限になっていますが、それでも
VSTプラグインを自由に追加することができるのが最大の魅力と言えます。
MIXについては、本当にカラオケ音源とボーカルのバランスを取るところのみの紹介ですが、まずは1曲作り上げるところから初めて、徐々に勉強していくのが良いと思います。
MIXのご依頼については多忙につきお引き受け出来ていませんが、今後も歌い手さんの参考になりそうな記事を書きたいと思っています。
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