Inter BEE 2014とは
Inter BEEについてご存じない方もいらっしゃると思うので、どのようなイベントなのかを最初に説明しておきましょう。
Inter BEEとは、
International
Broadcast
Equipment
Exhibitionの略で、1965年から開催されている
国際放送機器展のことです。
文字通り、TV業界からマスメディア、それに携わる放送ネットワークや映像製作、音響、音楽制作などの業界の企業が集まり最新テクノロジーや機材紹介などを行う、年に一度の大規模なイベントです。
僕は今年が初参加なので、例年と比べてどうかというのは分からないのですが、大体3分の2が映像・放送業界の展示で、残りがプロオーディオや情報ネットワークやクロスメディア、プロライティングの割合で展示と発表がされていました。
非常に注力されていたのが4Kや8Kに対応した映像コンテンツ。
大手家電メーカーでも4Kテレビなどが徐々に普及してきていますが、2020年の東京オリンピックが目前に迫り、それに対応したハイエンドなカメラや編集、ディスプレイなど、各企業とも実用性を重視した発表が行われていたように思います。
Adobe × Intel
僕が最初に向かったのは
ICT/クロスメディア部門があつまるHall 6。
ここでまず目に付いたのが、
AdobeとIntelの合同ブース。
高さ4Mは超えるだろう巨大モニターで、4K秒間60フレームのシネマティックコンテンツの製作の為の
After Effect CCのテクニック実演や、動画クリップを
CINEMA 4Dと連携させて擬似カメラワークを表現する方法、Intel Xeonプロセッサーを搭載したハイエンドPCの紹介など、映像クリエイターであれば非常に興味のあるセミナーが開催されていました。
フラッシュバックジャパン
AfterEffectsや
Final Cut Pro等をお使いの映像クリエイターの方であれば非常に多くの方がご存知だと思われる
フラッシュバックジャパンもInter Beeに出展していました。
Sapphire for AE v7などのVFXプラグインの紹介や、
RED GIANT、
VIDEO COPILOTといったプラグインメーカーのソフトウェアを使用した実際の使用例を実演しており、VFXファンにとっては非常に物欲をそそるブースとなっていました。
フラッシュバックジャパンはInter BEE出展を記念して11月25日まで取扱商品のディスカウントキャンペーンを実施しているようで、この期間は約40~50%オフでプロが使用するVFXプラグインが手に入るようですよ。
Motione Elements
動画製作で欠かせない、
ロイヤリティーフリーの動画素材を提供する
Motion ElementsもInter BEEに出展していました。
MotionElementsは、実写映像・CG動画、音楽素材やAEテンプレートなどの様々な素材を提供するサイトで、ロイヤリティーフリーで素材を活用できるので僕も非常に重宝しています。
世界各国のクリエイターが登録しており、作られた動画素材を各々がMotion Elementsを通して販売しているので、VFXやビデオ録画の腕に覚えがある方はクリエイターとして登録して販売することも出来ます。
ブースではメイド服のコスプレをしたMoéさんがユニークな素材検索エンジン
「ビジュアルサーチ」の紹介をしていました。
ビジュアルサーチは従来の素材検索とは違い、欲しい素材のイメージとなるような画像をWeb上にドラッグすると、その画像に近い動画素材を検索をすることができる画期的な仕組みのようです。
Moéさんがビデオ声優を務めるビジュアルサーチのデモムービーがありましたので紹介しておきますね。
従来の単語だけでは探しきれなかった素材なども発掘できると思うので、市販の動画素材に飽きている人は
MotionElementsを
使ってみると良いのではないでしょうか?
Fostex
続いてやってきたのは、
プロオーディオの企業が集まるHall 1。
最初に目に付いたのはスタジオ・モニター・スピーカー等で知られる
Fostexのブース。
様々なカラーバリエーションが楽しめるプロフェッショナル・スタジオ・モニター
PM0.4n
も展示されていました。
※僕も使っているPM0.4nが展示されていた。Fostexのブースの中で興味を持ったのが、一眼レフやiPhone5以降に対応した小型で軽量なマイクロホンユニット
オーディオレトリバー AR101L 。
プラグインパワー型の単一指向性コンデンサーマイクロホンを2つ備えており、一眼レフやiPhoneなどのカメラ用周辺機材と組み合わせて本格的な収録が出来る製品とのことです。
本体のロータリーエンコーダーで入出力の音量やPANの設定もできるそうです。
録画において、画質だけでなく手軽に音質にもこだわりたい人向けの製品と言えますね。
ハイリゾリューション
Focusrite等のオーディオインターフェイスの輸入代理店である
ハイリゾリューションのブースでは、放送業界やライブハウス・スタジオ向けの新製品
RED NETの展示が行われていました。
2015年に登場するRED NETはイーサネットを活用したシステムに適しており、USBではケーブルの長さが足りないライブスタジオやコンサートホールなどプロユースでのインターフェイスになります。
こうした業務用機器はなかなか実物を見る機会がないので、実際動いているのを見るだけでも貴重な体験になりました。
また、一般ユーザー向けにNovation Liveコントローラー
LaunchPad S
の展示もありました。
パッと見は64パッドのドラムパッドですが、クリップの操作やループの再生、エフェクトのオンオフからボリュームの調整も出来る
Ableton Liveコントローラーとのこと。
Live以外にもFL Studioなどのグリッドベースの音楽ソフトウェアに対応し、iPadと接続して専用のアプリを使えばアプリで読み込んだサンプルをLanchPadでプレイすることも可能で、色々な使い道ができるそうです。
クリプトン・フューチャー・メディア
先日発表された
巡音ルカ V4Xなどの
VOCALOID製品をはじめ、
SONICWIREでソフトウェア音源やオーディオ素材を販売する
クリプトン・フューチャー・メディアもInter BEEに出展。
今回は主に効果音などのオーディオ素材の提案のために出展したとのことですが、最近リリースされたオーケストラ音源
ORCHESTRAL ESSENTIALS 2や女声8部のクワイヤ音源
MYSTICAなどの試奏も出来る様になっていたので、少し触らせてもらいました。
※爆音で会場内にオーケストラサウンドが流れてしまい少々焦りましたORCHESTRAL ESSENTIALS 2は今までのORCHESTRAL ESSENTIALSの続編と言うべき製品で、収録されているライブラリは全くの別物。
既存のProjectSAM製品から新たにサウンドを抜きだしたインストゥルメントになっています。
MYSTICAは、まさにグレゴリオ聖歌という感じのクワイヤ音源で、民族調の曲に非常に合う旋律を奏でてくれていました。
志方あきこやKalafinaなどの曲が好きな人にはおすすめしたい音源ですね。
ゼンハイザージャパン
プロレコーディングの現場で使われる高品位なマイクを提供することで有名な
ゼンハイザージャパン。
大型ダイヤフラムを搭載したコンデンサーマイク、
MK 4
のハイエンド新製品となる
MK8の展示がありました。
MK8はハイエンドボーカルマイクロフォンe965をベースに製作されたMK4を更に進化させデザインをそのままに、オムニ、ワイドカーディオイド、カーディオイドと言った
指向特性切替機能がついたものになっています。
自宅でレコーディングする人が増えて低価格帯のマイクもたくさんリリースされている中、高品位のハイエンドモデルを強調したゼンハイザーの姿勢はさすがですね。
GENELEC
モニタースピーカーで有名な
GENELECのブースでは、プロフェッショナル向け8000シリーズに今年から新たに加わった、非常にコンパクトなサイズの
8010
の展示がありました。
高さ200mmに満たないコンパクトなボディーながら25Wの出力を誇り、自宅で音楽制作を行うDTMerにとっては省スペースで設置が出来るサイズとなっています。
入力は背面にXLR端子を備えており、ルーム音響補正用トーン・コントロール・スイッチも搭載されています。
8010の紹介ムービーがありましたので、貼っておきますね。
YAMAHA
YAMAHAでは国際放送機器展ということもあって、主にPA機材を多く展示しており、
NUENDO6をベースとしたポストプロダクション
Nuageシステムも間近で見ることが出来ました。
そんな中、YAMAHAのブースで非常に気になる製品を見つけました。
スタジオ・モニター・ヘッドホン
HPH-MT220
です。
実はこれ、2013年末には発売を開始されていたのですが、あまり楽器屋さんで見かけなかったので視聴する機会が無かったんですね。
視聴コーナーがあったので、手持ちのiPhone6に接続して音を確かめてみました。
低~中音域が豊かで音像をしっかり表現してくれており、立体的で癖の無い音質です。
MSP3
などのモニタースピーカーを手がけるYAMAHAならではの製品と言えますね。
付け心地もイヤーパッドが耳全体を覆ってくれて押さえつけている感はなく、フィット感が良い感じです。
個人的に非常に欲しくなるモニターヘッドホンですが、リスニングにも向いている気がしました。
Roland
Rolandのブースには今年発表された
SYSTEM-1が
TR-8や
TB-3、
VT-3と共に展示されていました。
このSYSTEM-1はROLANDのヴィンテージ・シンセサイザーを現代風に再構築したシンセ。
PLUG-OUTという機能でソフトウェアシンセをSYSTEM-1に取り込んで、パソコンなしでライブパフォーマンスに活用したりすることが出来るようです。
SYSTEM-1の紹介ムービーがあるので、興味のある方はご覧ください。
TASCAM
TASCAMのブースでは最近個人的に気になっている
リニアPCMレコーダー
DR-22WL
と
DR-44WL
の展示もありました。
手のひらサイズですがそれなりの大きさで、トランシーバーぐらいのサイズです。
この製品は
マルチトラックレコーディングにも対応していて、本体に搭載されるステレオコンデンサーマイクでの録音はもちろん、本体下部にXLRとTSRフォーンプラグが使えるコンボジャックを二つ備えているので、ダイナミックマイクなども接続が出来るようになっています。
スマートフォンに
専用のアプリをダウンロードしてWiFi接続をすれば、このDR-44Wを
リモートコントロールできるという優れもの。
スタジオやライブの録音などでは遠隔操作は非常に便利そうですよね。
RME
高音質なオーディオインターフェイスをリリースし、DTMでも多くのユーザーを抱える
RMEも出展していました。
コンパクトボディーながら本格的なレコーディングも対応する
Babyface
もありましたが、DTMerとして気になるのはニューモデルの
Fireface UCX
ですね。
ハーフラックサイズながら18イン18アウトの入出力で、192kHz対応のデジタル制御プリアンプを搭載しており、一切の味付けの無いクリアな音質を得られるそうです。
RMEといえば超低レイテンシーとしても名が知れていますが、このFireFace UCXも低レンテンシーコンバーターを搭載しており、全てのアナログ入出力に対応しているとのこと。
さらにDSPミキサーを搭載しており、18イン18アウトをルーティングしたり、3バンドEQやコンプ、ロー/ハイカット、センドリターンでリバーブなどを加えたりも出来るそうですよ。すごいですね!
まとめ
今回は、映像と音響の祭典
Inter BEE 2014を簡単に
レポートさせて頂きました。
普段なかなか間近で見ることのない製品の実物を見たり、現場のプロが行う動画編集テクニックのセミナーが開催されていたり、非常に有意義な内容のイベントでした。
ものすごく目新しいものは残念ながら発見できませんでしたが、それでも今年発表された新製品などが展示されていたりするので、個人的には楽しめました。
来年もこの時期に開催されると思うので、興味がある人は一般参加も可能ですから足を運んでみては如何でしょうか?
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