かといってMIDIキーボードを持ち歩いたりするとかさばるし、オーディオインターフェイスなどまで持ち運ぶようになると「全然ポータブルじゃない」って気持ちになりますが、そんな考えを根底から覆してしまう製品が登場しました。
KDJ-ONEとは
KDJ-ONEとは、
DTMに必要なハードとソフトをコンパクトに凝縮し、小型で携帯可能とした世界で初のポータブルミュージックスタジオです。
もう少し分かりやすく説明すると、携帯ゲーム機型の本体にDTMに必要な鍵盤や操作性を高める各種のコントローラが付属しており、搭載されているDAWを使っていつでもどこでもDTMを楽しめる、今までありそうでなかった製品なのです。
※KDJ-ONEの試作機を触らせてもらいました具体的な
本体の機能としては、
- 800×480の解像度を持つ5インチ液晶マルチタッチディスプレイ
- 16鍵キーボード(ベロシティセンシィティブ機能付き)
- ピッチベンド・モジュレーション用アナログスティック
- オクターブUP/DOWNスイッチ
- ジョグダイヤル
- 2.0Wステレオスピーカー
- USB 2.0ポート×1
- micro USBポート×1
- Mic/Line In
- Line Out
- ヘッドホンOut
などが搭載されており、DTMに必要な機能が縦115.5mm、横174.2mm、高さ29.5mmのボディに凝縮されています。
また、リチウムイオンバッテリーを積んでおり、
最長で10時間も稼働させることができるので、長時間充電しないで使えるのも大きなポイントではないでしょうか。
Linuxで動作する専用のDAWは、Cortex-A8 1GHzのCPU(iPhone等に採用)で動いており、ストレスなく動作してくれます。
このKDJ-ONEは、
鬼斬や
コズミックブレイク等のオンラインゲームで有名なゲーム会社「
サイバーステップ」が一から開発しているそうで、十字キーを備えたゲーム機型の本体にDTMの機材を詰め込むというアイデアはさすがゲーム会社ですよね。
このKDJ-ONEの開発はすでに4年以上前から始められており、2011年のNAMM Showでお披露目になったのですが、ハードウェアの問題からデザインを一新。
さらに進化を遂げて、この度リリースを目前に控えたという訳です。
実は先日、このKDJ-ONEを開発するサイバーステップ代表取締役社長の佐藤類さんから直々に、
“KDJ-ONEのキックスターター発売にあたり、プリセットの曲を作って欲しい”と依頼があったので、大変興味深い機材であったことからも、取材も兼ねてお話を伺いに行ってきました。
※サイバーステップ代表取締役社長の佐藤類さんこのKDJ-ONEで具体的にどのようなことが出来るのかというと、搭載されているDAWの
ピアノロールに液晶パネルにタッチしながら打ち込みを行ったり、
ベロシティ対応のミニ鍵盤で直接リアルタイムに入力したりしながら曲を作ることが出来ます。
実際に使わせてもらったのですが、音源は2機のオシレータ、4機のモジュレータ、7種のフィルターなどを備えた強力な
シンセサイザーが搭載されており、自由に音作りをしたり、プリセットから選んで音を使う事が出来ました。
※プリセットから音色を選んで編集することも出来るこれらの音源は同時に
最大64音まで発音できるので、かなりボリュームのある作品作りが出来そうです。
1つの曲のプロジェクトを
ソングと言い、そのソング長は
9999小節まで作成出来るようなので、ほぼ制限が無いと言っても良さそうです。
また、外部からのオーディオフォーマットにも対応しているので、KDJ-ONEにマイクを接続して
ボーカルを録音したものを曲に合わせたり、パソコンで
ボーカロイドを歌わせた
WAVデータを取り込んで
ボカロオリジナル曲を作ったりすることも出来ちゃうんですね。
もちろん、DAWなので
ミキサーも完備しており、
トラックのレベルやPANの振り分け、エフェクトのSENDもしっかり設定できます。
さらに、
オートメーションに対応しているので、より煮詰めた
Mixも可能になっているのも見逃せないポイントだと思います。
※LEVELやPAN等の設定が出来るMIXER画面ポータブル可能などこでもDTMができる機材と言う事ですが、外部機器との連動も可能となっており、
MIDIキーボードを接続してステップ入力することも可能。
自宅に帰ってからも、使い慣れたMIDIキーボードで曲作りの続きを行う事も出来るようです。
※MIDIキーボードをUSB端子に接続することもできるこうなってくると、
iPadなどのモバイルデバイスとの差別化が気になるところですよね。
サイバーステップ代表取締役社長の佐藤類さんに、正直にこの疑問をぶつけてみました。
佐藤氏
KDJ-ONEは、これ1台でDTMに必要なものが全て揃っています。iPadのようなデバイスでもDTMを楽しめると思いますが、全てタッチパネルでの作業は使いづらい部分も多いですよね。
かといって、MIDIキーボードやオーディオインターフェイス等を接続するとケーブルが邪魔になったり、それこそ持ち歩く機材が増えてかさばるので全然ポータブルじゃないじゃないか…って。
このKDJ-ONEにはベロシティ対応のキーボードも、各種インターフェイスも備えていて、ピッチやモジュレーションが操作できるアナログスティックや、操作性にこだわったジョグダイヤルなどが最初からハードウェアとして備えられているんです。
ポータブルDAWというよりも、音楽スタジオを持ち運べる“ポータブルミュージックスタジオ”をコンセプトに作られているので、簡単に言えば、ハードウェアとソフトウェアのいいとこ取りをした製品なんですよと、KDJ-ONEに対して自信たっぷりにお答えいただけました。
※デモ機は社内の工房で3Dプリンターを用いて制作されているようですUSBポートを利用してPCとデータのやり取りをしたり、プリセットやオーディオファイルを取り込んだりすることが可能とのことで、
VOCALOIDを使う
ボカロPや
ゲーム音楽制作、
チップチューン、
EDMなどのシーンで幅広く活用が期待できると思います。
KDJ-ONEの使い方、曲の作り方
ここまで説明するとKDJ-ONEでは、実際にどのように曲作りをするのか気になりますよね。
僕も実際に使いながら曲を作り始めているので、ご紹介しておきましょう。
KDJ-ONEでの作曲は主に
パターンモードと
ソングモードを駆使して制作していきます。
パターンモードで作ったパターンを、ソングモードに貼りつけて曲にしていきます。
ちなみにKDJ-ONEには標準で4GBのメインストレージを備えているので、ピアノロールにMIDIを打ち込む以外にもオーディオファイル(WAV)も取り込むことが出来るので、ボカロオリジナル曲などの歌モノも作れます。
パターンモード
パターンモードでは
パターンと言われる、最大6トラック・最大999小節で構成されるMIDIデータを作成します。
手始めにドラムトラックから作ってみます。
パターンモードには、
MIXER画面、SCORE画面、VOICE画面の3つのモードが用意されています。
各トラックのピアノロールの打ち込みや音色の選択・編集は画面下部のトラック選択ボタンを押してアクティブ状態(黄色)にしてあげます。
※画面はMIXERモードパターンモードのミキサー画面で1トラック目を選択し、画面上部の
トラックタイプ切り替えボタンで
DRUMボタンを押すと、音色がドラムマッピングに変わります。
ここを
SYNTHにすれば1トラック目の音源はシンセサイザーに、
CLIPにすればAUDIOクリップを扱えます。
さらに左下の
VOICEボタンを押すと音色を変更する画面へ移ります。
※SYNTH、DRUM、CLIPでそれぞれ専用のインターフェイスが表示されるここで好きなドラムセットをプリセットから選んでも良いですし、1から音色を作ってもいいでしょう。
今回はプリセットから音色を選択しました。
続けてMIDIノートを打ち込みます。
左下の
SCOREボタンを押せば、ピアノロールが表示されます。
※パターン1の1トラック目にドラムの4つ打ちビートを入力これらの作ったパターンや音色は右下の
WRITEボタンを押すと好きな名称で保存できます。
パターン名は自分が分かればいいので、今回は「IKAP BEAT1」としておきました。
こうしてパターン「IKAP BEAT1」の1トラック目にドラムトラックを作りましたが、続けて2トラック目にはシンセベースを、3トラック目にはピアノ等を打ち込んでいく事で、ひとつの楽曲にしていきます。
ソングモード
パターンモードで作ったパターンは最大で6トラック・最長で999小節ですが、これらのパターンを
ソングモードでは4トラック扱えるようになっています。
つまり、最大で24トラック分の音色を同時に発音することが出来ると言う事です。
KDJ-ONEの曲作りの仕方としては、パターンモードで作った6トラックの曲をソングモードでさらに4つ重ねていく事で、音源を沢山使った曲作りが可能になっているのです。
スペースの関係でKDJ-ONEの全ての機能を紹介するのは難しいのですが、トラックメイク以外にも
エフェクトも多数搭載しており、本当にこれだけで本格的に曲作りが出来る印象です。
Kickstarter(キックスターター)でお得に手に入れよう!
これだけ使えるKDJ-ONEをいち早くゲットしたい方へ、いち早くお得にゲットする方法を最後にお伝えしてきましょう。
今回紹介したKDJ-ONEは、
クラウドファウンディングによる資金調達方法で制作が予定されています。
簡単に説明すると、前払い制・受注生産と考えると分かりやすいでしょうか。
このKDJ-ONEが欲しい人が投資をし、その資金を使って製品を製造する仕組みです。
Kickstarterもそのクラウドファウンディングのひとつです。
cyberstep代表取締役社長の佐藤類さんに
価格はいくらぐらいなのか質問したところ、まだ最終的な価格設定には至っていないそうです。
ですが、今回のKickstarterプロジェクトが成功すれば、大量生産して世界へ流通され始めるそうです。
そのためにも多くの人にKDJ-ONEを手に取ってもらい、使って貰いたいのが一番の狙いとのこと。
もしかしたら、ほぼ原価に近い形での提供になるかもしれないとのことなので、いち早くお得にゲットしたい人は、
Kickstarterで申し込みして手に入れるのが良いと思われます。
Kickstaterの申し込み開始は11月20日前後とのことなので、今からKDJ-ONEのサイトをチェックしておくといいでしょう。
■関連リンク
まとめ
ポータブルDTMスタジオKDJ-ONEは、ハードウェアとソフトウェアのいいとこ取りをした持ち運び可能なミュージックスタジオとして期待が高まりますね。
使ってみた感想としては、動作ももたつかず、タッチパネルの反応速度もストレスないので快適に使えると思います。
音源部も本格的に音作りが出来るシンセサイザーが搭載されており、WAVファイルも扱えるため、様々なジャンルの曲作りにも対応できると思います。
あのSlipknotのDJ STARSCREAMが、KDJ-ONEの魅力について紹介している動画がありますので、最後に紹介しておきましょう。
最後まで記事を読んで下さってありがとうございました!
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