Symphonic Choirsとは?
正式名称「Quantum Leap
Symphonic Choirs PLAY Edition」は、自社スタジオを持つ
EastWestが制作した、37GBの大容量を誇るプロクオリティーのDTMクワイア音源です。
EastWestといえば、先日「
超リアル!DTMおすすめオーケストラ音源 厳選3!」の記事で紹介した
Symphonic Orchestra
のデベロッパーでもあります。
このEastWestはオーディオ業界に30年以上身を置いたDoug Rogers(ダグ ロジャース)が創設し、デベロッパーとしては非常に稀なサウンドデザインにおけるインターナショナルアワードを50以上も受賞するほどです。
それだけEastWestが生み出すサウンドは定評があり、評価されているという事ですね。
「Quantum Leap」を冠した製品名は、そのEastWestの製品群の中でも複数の賞を獲得したプロデューサー/作曲家であるNICK PHOENIX(ニック フェニックス)氏のプロデュースした製品である事を示しており、EastWestのフラッグシップとも言える製品となっています。
つまり、今回紹介する「Quantum Leap Symphonic Choirs PLAY Edition」はEastWestの製品の中でも満を持してリリースされたクワイア音源、という事になるのです。
PLAYエンジンで動作するSymphonic Choirs
さて、EastWestの最高峰クワイア音源「Symphonic Choirs」がどのような物か、実際に見ていきたいと思います。
製品名末尾に「
PLAY Edition」と表記されている通り、「PLAY」というインストゥルメントをDAWで立ち上げ、「Symphonic Choirs」の音源を読み込ませて使います。
※クリックで拡大PLAYエンジンはCUBASEならインストゥルメントトラックから立ち上げる事も出来ますし、マルチティンバーにも対応しているのでパラアウトすることも出来ます。
PLAYエンジンは、
VST、AU、RATS、AAX、スタンドアロンといった主要なプラグイン規格に準じているので、業界標準のDAWであれば問題なく読み込ませることが出来ます。
感覚的にはNativeInstrumentsのKONTAKTプレイヤーと同じようなものですが、仕組み自体は少々違っています。
ちなみに過去のバージョンではKONTAKTプレイヤーで動作するインストゥルメントだったのですが、性能を活かす為にもEastWestが開発した「PLAY」エンジンへ切り替わっています。
PLAYエンジンはWindowsの場合、32bit版と64bit版が用意されているので、環境に合わせた選択が出来ますが、やはり64bit版の方が良いでしょう。
Symphonic Choirsの収録内容
ここで、Symphonic Choirsの収録内容について説明しておきたいと思います。
DTMクワイア音源ですので、合唱パートもそれぞれ揃っています。
収録されている内容と音域ですが、
- Sopranos:D3 to E5
- Altos:F2 to A4
- Tenors:C2 to D4
- Basses:B0 to D3
- Boys:C3 to B4
- Solo Soprano:E3 to D5
- Solo Alto:E2 to G3
- Solo Boy:Bb2 to Bb4
となっており、混成4部合唱はもちろんのこと、Boysやソロパートまでも収録されているので、非常に自由度の高い曲作りに対応しています。
これらのパートはそれぞれ別々に扱うことも出来ますし、「Full Choirs」という音源を選択すれば、1つのトラックで4パートを演奏させることも出来ます。
その場合は、F#3まではBasses、G3からTenorsという具合に最適な間隔で自動的に振り分けられます。
それぞれの歌声はMicrophonesというマイクセッティングで、至近距離のクローズ、中距離のステージ、遠距離のサラウンドの音色を、自由にミキシングが出来るようになっているので、曲に合わせた響きを自分で調整することが出来ます。
※クローズやステージなどをミキサーでコントロールできる実を言うと、僕はSymphonic Choirs以外にもクリプトンから発売された「VOXOS」と言うクワイア音源を持っているのですが、クローズマイクのセッティングが甘く、無駄に反響音を多く含んだ音源だったので、単体で使うには良いのですが、そのほかの音源と混ぜて使おうとするとオケに埋もれやすくて、値段が高い割にあまり使えないという印象でした。
その点を比べると、Symphonic Choirsの方が安い割にマイクセッティングも良く使いやすいので、今はこちらをメインに使っています。
各ボイスの発音種類
ここで気になるのが、どのようなボイスが収録されているかと言う事でしょう。
Symphonic Choirsはクワイア専用音源ですので、実に様々な歌声がサンプリングされています。
※PLAYエンジンのブラウザ画面上の画面はソプラノの歌声の一部を表示させたものです。
画面を見て頂ければ分かるかもしれませんが、基本的な歌声は収録されており、
ah、ee、eh、eu、ih、oh、uh
等がそれぞれの音階別に収録されています。
さらに、画面の鍵盤のグラフィックをご覧になるとDTMに詳しい方なら気づくと思いますが、青色の鍵盤部分はキースイッチになっていて、サスティーンや、レガート、スタッカート等のアーティキュレーションを変更し、歌い方を変えられるようになっています。
また、上記の発音に加えて、
b、d、g、j、l、m、n、r、rr、th、v、w、y、z
といった歌声も収録されており、加えて各パートごとにFXサウンドが用意されているので、シャウト、フォール、ウィスパーボイス、ブレスなど痒いところに手が届く素材も含まれています。
※ソリストパートではキースイッチでランダムな発音も出来るソリストパートの音源は、キースイッチを使う事でビブラートのオンオフや、ランダムで様々なワードを歌う機能も搭載されているので、単にahだけでは雰囲気に合わない場合などに使うと、簡単に“それっぽく”歌い上げてくれたりしますので、状況に応じて使うと良いのではないでしょうか。
ワードビルダーで自由に歌詞を歌わせよう!
Symphonic Choirsには、他のクワイア音源にない大きな特徴として、ワードビルダーという機能が搭載されています。
これはその名の通り、自由に作った歌詞をSymphonic Choirsが歌い上げると言う画期的な機能で、Vocaloidに近いものがあります。
とはいえ、歌わせ方はちょっと特殊で使い方に少々コツが必要かもしれません。
しかしながら、Vocaloidとは違って和音でも問題なく歌わせることが出来るので使っていて楽しいです。
今回はクワイア音源らしく「ハレルヤ」と歌わせたいと思います。
歌詞の入力は「ENGLISH」「PHONETICS」「VOTOX」の三種類がありますが、分かりやすい「ENGLISH」で入力してみました。
※Word Builderの操作画面一気に英語で「hallelujah(ハレルヤ)」と入力しても上手くいきませんでしたので、
ha、le、lu、ya
と入力しました。
発音できないワードを入力すると、赤文字になるので、このあたりは試行錯誤してみてください。
画面下では音素がバーで表示され、上段は子音、下段は母音のようになっており、発音のタイミングやボリュームのカーブなどを操作して調整していきます。
音の情報を送るMIDIトラックは、下の画面の様に簡単にサクッと作ってみました。
※画像はCUBASE 71音1音、ha、le、lu、yaと発音して貰うにはこのように入力します。
ノートのオンオフも大事と言う事ですね。
この辺りは、Vocaloidと扱い方は似ていると思います。
このワードビルダーの仕組みとしては、マルチティンバーの1ch~6chを使って、膨大なサンプルとなっている子音と母音をチャンネル別にして別々に再生し、アウトプットする際にひとつの音にまとめるという作業が内部で行われているようです。
MIDIトラックの音情報を受け取ったWord Builderが、入力された歌詞に該当する子音と母音のサンプルを再生せよ!という情報を乗せてSymphonic Choirs側に送り再生する仕組み…と考えると分かりやすいでしょうか。
Vocaloidの様に日本語の入力は出来ないので、英語かラテン語、もしくは音素記号のようなもので発音を指示していく流れになります。
ワードによっては発音できない場合もあるかもしれませんが、それでも自由に言葉を組み合わせて歌わせられるクワイア音源は、今のところSymphonic Choirsだけなので最大のメリットと言えるでしょう。
Symphonic Choirsレビューとまとめ
Symphonic Choirsは音質も良く、8種類のクワイアパートが37GBも収録されています。
サスティーンや、レガート、スタッカート等のアーティキュレーションもキースイッチで切り替えて使う事が出来るので、非常に使いやすいと思いました。
また、3種類のマイクポジションで収録されているので、クローズでも遠距離でも使い分ける事が出来るのも嬉しいポイントで、Mixでも埋もれないクワイア音源と言えるでしょう。
そして何と言ってもワードビルダーで自由に歌詞を歌わせることが可能なことです。
決められたフレーズのみ再生できるクワイア音源は多くありますが、自分で好きなワードを組み合わせて歌わせられるのはSymphonic Choirsだけでしょう。
どんな感じになるのか、YouTubeにある動画をひとつ紹介しておきますね。
動画自体は短いのですが、どんなことが出来るのかお分かり頂けたのではないでしょうか。
動画の様にMIDIキーボードで演奏もできるので、弾きながらフレーズを考えたりするのも楽しいと思います。
また、記事上では紹介しきれなかったのですが、PLAYエンジンにはリバーブのプリセットも豊富に用意されているので、コンサートホールやチャペルで聴くようなクワイアの音響もシュミレートすることが出来ます。
DTMでクワイア音源を探しているのであれば、「Quantum Leap
Symphonic Choirs PLAY Edition」さえ持っていれば、他のクワイア音源は不要だと思いました。
製品概要
最後に、Symphonic Choirsの基本情報をまとめておきます。
- 対応OS:Windows Vista以降、MacOS 10.4以降
- 対応プラグイン:VST、AU、RTAS、AAX、スタンドアロン
- データ容量:37GB
- RAMメモリ:2GB(8GB以上を推奨)
- 参考価格:39,800円
- 販売代理店:ハイリゾリューション
また、必要なものとしては以下のものが挙げられます。
- iLok
- インターネットが接続された環境
- 低レイテンシーのオーディオインターフェイス
今回僕は、音源ライブラリをSSDに入れたので読み込みのストレスは感じませんでしたが、それなりの容量なので、高速なHDDやSSDにインストールすることをおすすめします。
あと、ワードビルダーの設定の仕方が少々ややこしいので、販売代理店のハイリゾリューションさんが設定の仕方を紹介しています。
リンクを貼っておくので参考にしてみて下さい。
>>アプリケーション別設定ガイド
Symphonic Choirs
Amazon
楽天市場
Yahoo!ショッピング
サウンドハウス
最後まで記事を読んで下さってありがとうございました!
少しでも、このブログを読んで下さっている皆様の役に立てればと思っております。
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クワイア音源の導入を考えている者です。
導入候補として、これか、requiem proか、VOXOSで悩んでいます。
やはりそれらの中でもこいつが一番いい感じですか?
よかったら、それぞれの意見なんかも一緒に情報くれると大変参考になります。