フリーソフトではありませんが、直感的な操作性と、レイヤー構造からなるタイムライン、数多くのエフェクト効果と画面効果を搭載しているので、非常に見栄えのある動画を作ることが出来ます。
Corel VideoStudioとは
Corel VideoStudioとは、直感的なインターフェイスで高度な動画制作を行うことが出来る、超高画質4K対応の動画・ビデオ編集ソフトです。
ニコニコ動画やYouTubeに動画を投稿する際に画質を左右する
動画の画面サイズを設定できる、数少ないソフトウェアのひとつではないでしょうか。
扱えるファイルも非常に多く、動画・静止画・音声の主要なファイル形式に対応しており、Adobe Photoshopのファイル形式である
PSDも読み込めるようになっています。
註)PSDはレイヤーごとに読み込みはできませんCorel VideoStudioのラインナップは通常版のPROと、上位版のUltimaiteの2種類が用意されています。
通常版と上位版の違いとしては、搭載されるエフェクトや画面効果の数が大きく異なるのと、上位版のUltimaiteのみ3Dテキストアニメーションや色彩補正等のプラグインが追加さることです。
曲タイトルの表現を凝ったものにしたかったり、より多くのエフェクトを使って派手な動画を作りたい人は、上位版のUltimaiteがおすすめです。
とはいえ、Ultimaite版でも約16,000円前後であり、通常版と6,000円程度しか違わないので、機能や性能を考えればむしろ安いと言えるでしょう。
VideoStudioの機能紹介とボカロPVの作り方
さて、ここからはVideoStudioの通常版を使いながら、VideoStudioの機能を紹介を合わせつつ、ボカロPVの作り方について触れていきたいと思います。
まず、VideoStudioを起動すると
プレビュー画面(左上)と
タイムライン(下)、読み込んだ素材やエフェクトなどをプレビューする
ライブラリ画面(右上)が下の画面の様に表示されます。
※VideoStudioには最初から動画素材やテンプレートが用意されているこれらのインターフェイスはユーザーの自由にカスタマイズができるようになっているので、自分の使いやすいように変更するのも良いでしょう。
VideoStudioの基本的な使い方としては、画面下のタイムラインに動画や静止画をドラッグ&ドロップして貼りつけていき、動画の上にイラストやテキストなどを重ねていくことで一つの動画を作り上げていきます。
もちろん音楽ファイルを読み込んで動画と一緒にプレビュー再生することが可能なので、曲と動画を上手にシンクロさせながら作業を進める事ができます。
動画の画面サイズを決める
まず最初に行いたいのは、動画の画面サイズ設定です。
「
ボカロオリジナルPVの作り方解説!」という記事でもお伝えしましたが、動画の画面サイズは大変重要な要素になっているのです。
ニコニコ動画における画面の解像度は、
- 大画面:854×480(16:9)、640×480(4:3)
- 中画面:640×360(16:9)、512×384(4:3)
となっており、画面が大きくなるほど動画は綺麗で大きく表示しても画質が落ちる事は少なくなりますが、その分データ容量も大きくなるので注意が必要です。
今回は中画面モードでボカロPVを作っていきたいので、メニューから
[設定]→[プロジェクトのプロパティ]
を選択し、動画の形式について設定します。
プロジェクト形式は[DV/AVI]を選択し、新規ボタンを押すと新しいプロファイルを作れます。
続いて、[AVI]のタブを選択し、圧縮を[なし]に選択。
こうすることで、タブ[全般設定]からフレームサイズをカスタムすることができます。
ちなみにフレームレートは画質と容量のバランスが良い24に設定しました。
僕が動画を作る時は、いつもフレームレートを24にしています。
フレームレートとは、パラパラマンガで言う紙の枚数みたいなものです。
1秒間に入るフレーム(パラパラマンガなら紙の枚数)をいくつにするか設定するもので、上記の例だと1秒間に24フレーム入ることになります。
動画と言っても結局は静止画を順送りに再生しているにすぎないので、このフレームレートが高ければ高いほど動画は滑らかに動くと考えていいでしょう。
その分、データの容量は大きくなるので、僕はバランスの良い24を設定しています。
イラストや動画素材をタイムラインに並べていく
画面サイズの設定が済んだら、タイムラインにイラストや動画素材を並べていきましょう。
デフォルトでは右上に表示される、ライブラリ画面からパソコン上の各種ファイルを参照し、取り込むことが出来ます。
※取り込むファイルはフォルダで分類し、管理することもできます。取り込んだファイルはライブラリ画面に登録されるので、取り込んだファイルをドラッグ&ドロップで画面下部のタイムライン画面に貼りつけていきます。
VideoStudioのタイムラインは、
- ビデオトラック
- オーバーレイトラック
- タイトルトラック
- ボイストラック
- ミュージックトラック
で構成されており、
オーバーレイトラックは最大20まで自由に増やすことが出来ます。
このトラックは、いわば
レイヤー構造(アニメのセル画のようなもの)となっているので、一番下に来るビデオトラックに背景となる動画や静止画をおき、その上にイラストや動画素材を重ねて表現していくことで、ひとつの動画として観る事ができるのです。
※複数の動画やイラスト、テキストを重ねて表示できる上記の画像では、ビデオトラック(背景)に動画素材を使用し、オーバーレイトラック1に初音ミクのイラスト、その上のオーバーレイトラック2に白い球体の動画素材をクロマキーで合成し、さらにタイトルトラックにテキストを入力しています。
このようにVideoStudioでは、いくつものトラックを重ねながら動画を作れるのですが、素材を重ね合わせるだけでなく、それぞれ3Dモーションやエフェクトを設定することができます。
また、
トランシジョンと言う画面切り替え時のエフェクトも沢山の種類が用意されているので、Aと言う画像からBという画像へ背景を切り替えたいとき等に威力を発揮します。
※A→Bのトランシジョンがアニメーションされるので視覚的に選ぶことが出来る画像ではトランシジョンの一部しか紹介できていませんが、かなりの数のトランシジョンモーションが用意されているので、曲の雰囲気に合わせて切り替え効果を選ぶといいのではないでしょうか。
モーションの生成
タイムラインに貼りつけた素材をアニメーションさせる
[モーションの生成]は非常に強力なツールになっていて、位置やサイズ、画像の回転や不透明度やその他の項目に対して自由にアニメーションさせる事ができます。
時間の変化と共に画像を大きくしながら、不透明度を調整して徐々現れるイラスト等を表現する…と言ったことも、いとも簡単にやってのけます。
アニメーションさせたいトラックを選択した状態で右クリックをすると、いくつかのメニューが表示されるので、その中の[モーションの生成]を選択しましょう。
すると、各種のパラメータを時間軸で調整できる画面が開きます。
試しに位置とサイズ、透明度を時間で変化させ、徐々に初音ミクの顔にズームするようなアニメーションを作ってみました。
※クリックで拡大表示画面の真ん中あたりに横軸で時間の経過を表すバーが表示されているのですが、▽のマーカーを動かすことで任意のタイミングにモーションを設定することができます。
この[モーションの生成]と複数のオーバーレイトラックを組み合わせるだけでも、複雑で派手な動画も作り出すことが出来ますし、アイデア次第で非常に幅広い表現が可能ですので、色々と試してみると面白いと思いますよ。
エフェクトを使う
さらにVideoStudioには
数多くのエフェクトが搭載されています。
先ほどの[モーションの生成]と併せて使う事で、より複雑で動きのある動画を作ることが出来るでしょう。
※画像にどのような効果を与えるかアニメーションで選ぶことができるエフェクトにはクセがあるものも多いですが、「アクティブカメラ」といった画面を手振れの様にシェイクしてくれる機能や、「レンズフレア」「稲妻」といった光物系、「古いフィルム」や「モノクロ」といったカラー系エフェクト、「ゴースト」や「スムージング」などの画像加工系と、一通りのものは揃っています。
エフェクトの細かい設定が苦手な方でも、すぐにプレビュー画面でどのように変化するのかが見れますし、いくつかの
プリセットも用意されているので、馴れないうちはプリセットの中から効果を選ぶと良いかもしれません。
※画像はエフェクト「アクティブカメラ」。非常に細かい設定が可能となっています。これらのエフェクトは一つの動画像に対して何種類も重ねて使うことが出来るので、[モーションの生成]と同様に組み合わせ次第で表現方法が広がるでしょう。
テキストの入力とアニメーション
ボカロPVを作るのであれば、曲の歌詞やクレジットなどを動画中に表示させたいですよね。
テキストの表示方法にもこだわることで、動画の完成度はグンとアップすると思います。
テキストのアニメーションも、最初からいくつものプリセットで用意されているのでそれを使ってもいいですし、テキストトラックを選択した状態で[モーションの生成]を選択すれば、細かく動きを指定することも出来ます。
※テキストアニメーションにはプリセットがいくつも用意されている。テキストアニメーションのプリセットは、
- スウィング
- ズーム
- ドロップ
- フェード
- フライ
- ポップアップ
- 移動パス
- 回転
のカテゴリに分けられており、その中からいくつもの動きのプリセットがあるので好きなものを選んで使うことができます。
このテキストアニメーションに加えて、テキストに対してエフェクトを使ったり、[モーションの生成]を行うえば、さらに凝った演出が可能となるでしょう。
[モーションの生成]を使えば、X・Y・Z軸を中心にテキストを回転させられるので、3D空間を表現したり、文字を反転させたりすることも簡単です。
まだまだある便利な機能
VideoStudioには、まだまだ便利な機能がたくさん搭載されています。
全てを紹介するのはスペースの関係上難しいので、個人的に“使える”機能を2つほど紹介しておきたいと思います。
まず最初は
変速コントロールです。
これは、読み込んだ動画素材などの動画の再生速度を変更する機能でして、動画を通常よりゆっくり再生させたり早く再生させたりすることが出来るのです。
それも一定ではなく、最初はゆっくり再生して徐々に再生速度を速めたり、急激にスロー再生させたりと自在に操ることが出来るのが特徴です。
※再生開始から何秒後にどれぐらいの速さになるか等設定できるもう一つは
マスク&クロマキーです。
マスクというのは、簡単に説明すると“隠す”という意味の通り、画像や動画の一部分を隠して表示させる機能の事です。
例えば楕円形のマスクを初音ミクのイラストに適用すると、
こんな感じに、イラストを部分的に表示させたりすることも出来ます。
マスクの種類も複数用意されているので、うまく使う事で様々な表現が可能になるでしょう。
そして
クロマキーは、画像などの指定した色を透明色と指定し、透過処理をさせる機能になります。
透過情報を持たないMP4等の動画ファイルやJPEG等の静止画ファイルであっても、背景がある程度同一の色であれば透明に処理が可能です。
例えば、先ほどのマスクを使った初音ミクのオーバーレイトラックの上に白黒の画像を表示させると、そのまま白黒画像が前面に出て、初音ミクは見えなくなってしまいます。
※クロマキーを使わないと、白黒画像がそのまま表示されてしまう。そこで、クロマキーで「白」を透明色に指定してあげると、
※画像の白い部分が透明になったこのように白い部分が透明になり、下の画像が見えるようになります。
こうした機能を使う事でイラストの要らない部分を消すことが出来ますので、背景とイラストをしっかり区別した動画制作が可能になるのです。
動画を書き出す
以上の様にVideoStudioでは、トラックの使い分けとモーションの生成、エフェクト、テキストアニメーションなどを駆使して一つの動画を作り上げることが出来ます。
そして曲の最後まで動画が完成したら、いよいよ書き出しの作業に入ります。
画面上部に[取り込み][編集][完了]の大きなタブがありますので、[完了]を選択すると動画の書き出し画面に移行します。
一番最初に動画の画面設定を行っていますので、下図の赤枠[プロジェクト設定に合わせる]のチェックボックスにチェックを入れましょう。
[プロジェクト設定に合わせる]にチェックを入れると、プロパティが表示されますので、青枠のプロパティで間違えが無いか確認してから右下の[開始]ボタンを押すと、動画の書き出し(レンダリング)が開始されます。
書き出されるファイルの保管場所を変更したい場合は、[ファイルの場所]で場所を指定してあげると良いでしょう。
書き出されたファイルはAVIという無圧縮の動画ファイルとなっており、画質は最高ですがデータ容量も膨大になってしまいます。
動画ファイルをエンコードソフトを使ってニコニコ動画やYouTubeに投稿するのに最適なファイル「H.246」に変更する方法は「
ボカロオリジナルPVの作り方解説!」で解説していますので、併せて読んで頂くと良いでしょう。
まとめ
今回は、Corel VideoStudioという市販ソフトを利用してボカロPVを作る方法と機能紹介を行いました。
Corel VideoStudioは、フリーソフトでは物足りないけど、AfterEffects等のプロ用ソフトには手が出せない方にピッタリの動画編集ソフトとして紹介させて頂きました。
レイヤー構造を持つタイムラインと、数々のエフェクト、モーションの生成機能、テキストのアニメーションやマスク&クロマキーといった非常に実用的な機能を備えたソフトです。
動画制作が初心者の人でも、エフェクトの効果やアニメーションなどをビジュアルで一覧表示してくれるので、
視覚的に操作が出来るのも非常にありがたいと思います。
今回紹介したのは、通常版の
VideoStudio Pro
という安いグレードのものですが、上位版の
VideoStudio Ultimate
にはPro版に無い機能を沢山搭載しています。
Ultimate版には、
- 筆記体で描くアニメーション効果
- 高機能色調補正フィルター
- 3Dエフェクトにも対応したタイトルアニメーション作成ソフト
- 本格派手ぶれ補正プラグイン
- 豊富なプリセットを完全にカスタマイズ可能なビデオフィルターとトランジション
- マップウォーキング・アニメーション作成プラグイン
- 簡単に使えるビデオフィルターとトランジション
等の追加要素が盛り込まれており、通常版のProとの金額も6,000円ぐらいしか違わないので、動画制作で色々やりたいと思っている人は、Ultimaite版の方が良いでしょう。
学生の方であれば
アカデミック版
もあるので、さらにお買い得だと思います。
ちなみに、Corel VideoStudioにはかなり詳しく書いてある
日本語マニュアルが付属しているので、使い方が分からない…ということは少ないと思いますよ。
■動作環境- OS:Windows 8、7、Vista(それぞれ64/32bit対応)
- CPU:Intel® Core™ Duo 1.83 GHz、またはAMD Dual-Core 2.0GHz以上
- メモリ:2GB以上のRAM(4GB以上のRAMおよび1GB以上のVRAMを推奨)
- 画像解像度:1024×768ピクセル以上
■関連リンクe-frontierいつもニコニコ道具箱をご覧になって下さってありがとうございます。
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中学2年です。ブログにコメントするのは初めてなのですが、いつも参考にさせていただいているため思い切ってコメントしてみました。
この間DTMマガジンを購入して、烏賊Pさんの記事を読ませていただきました。 驚くほど徹底レビューされていました。勉強になります。
これからも楽しみにしています!!