目次
1.動画制作(編集)、3DCG向けのパソコンとは
動画制作や編集、3DCG、 VFX、モーショングラフィックス等は、パソコンにとって非常に高度な処理を求められる作業です。
動画にしても3DCGにしても、実際に描画する時には
レンダリングと言う作業が必要になりますが、処理速度の遅いパソコンだとレンダリングに非常に時間がかかってしまい、作品の完成度や細部の作り込みなどを確認したいときに不便でストレスが溜まりますよね。
こうした処理の重い作業はもちろんですが、レンダリング以外でも編集中に動作が遅くて作業が効率的に行えない…なんて事もあるでしょう。
まずは、動画制作(編集)、3DCG向けのパソコンでおさえておきたい
パーツについて確認しておきましょう。
1-1.CPUについて
パソコン全体の処理性能に大きく影響する極めて重要なパーツ、それが
CPU(Central Processing Unit=中央演算装置)です。
最終的には、このCPUの性能でシステム全体の処理能力が決まるとも言えます。
CPUは大別して、
Intel製と
AMD製がありますが、それぞれCPUのソケット形状が異なるので、マザーボード等の使い回しはできません。
どちらのCPUが良いのかと疑問を持つ方もいらっしゃると思いますが、優劣はつけられないほど両者の性能は拮抗していると思いますので、どちらを選んでも問題はないでしょう。
動画制作や3DCG制作等で求められるのは、CPUの
処理能力です。
パソコンを選ぶ際は、このCPUの処理能力にまず着目して下さい。
必ず確認しておきたいのは
の2つ。
クロック周波数は処理性能を表しており、数字が大きい方が性能が高いと思っておいて良いでしょう。
厳密には様々な要因で処理速度は変わりますが、出来るだけ自分の予算内でクロック周波数の高いCPUを選ぶと良いと思います。
演算コア数は、今は
マルチコアの時代です。
動画制作や3DCG制作を行うのであれば、
4コア以上のものが良いです。
欲を言えば、
L1・L2・L3キャッシュ容量も大きい方が処理が落ちにくいので、知識として頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。
これらを踏まえてCPUを選ぶとするならば、
Intel製は
core i7シリーズか
Xeonシリーズ、AMD製なら
FXシリーズを選択すると良いのではないでしょうか?
また、CPUは常に進化していますので、同じシリーズでも最新のものを選ぶ方がいいと思います。
1-2.OSについて
パソコンに搭載する
OS(Operation System)は、大別して
Windowsと
MacOSがあります。
一昔前までは、グラフィックスはMacと言われた時代もありましたが、今となってはどちらも大差は無いと思います。
Windows搭載のパソコンはパーツの幅も広く、かつMacに比べてコストパフォーマンスが良いので、コストを抑えたいならWindows機が良いでしょう。
MacOS搭載のパソコンはApple社が提供しているラインナップのみとなり、少々値が張ります。
ですが、動画制作においては、動画ソフト「
Final Cut Pro - Apple」やMac版After Effects専用のサードパーティー製エフェクトプラグイン等があるので、これらを使いたい場合はMacを選ぶといいでしょう。
OSを選ぶ上で絶対に気を付けたい点があります。
OSには
32bitと64bitのものがあると思いますが、動画制作や3DCG制作を行うのであれば、
必ず64bitのものを選んで下さい。
32bitオペレーションのOSは、その特性上メモリーを4GBまでしか認識できません。
64bitでは、理論上172億GBまでメモリーを積むことが出来ます。
また、動画ソフトであるAfter Effects等は64bitでないと使う事が出来ません。
従って、OSを選ぶ際はメモリーを多く積める64bitを選択するようにしましょう。
また、OSにWindows 7(64bit)を選択する場合、Windows 7 Home Premiumだと16GBまでしかメモリー扱えないので注意しましょう。
1-3.メモリーについて
メモリー、とりわけマザーボードに取り付ける
メインメモリーは、作業机の広さに例えられます。
デスクトップPCのメモリー規格は現在
DIMMというものが主流で、主力製品としては
DDR3と言うものが多いと思います。
動作速度はDDR3-1333、DDR3-1600、DDR3-1866、DDR3-2133など、末尾の数字が転送速度を示しているので、数字が大きい方が読み書きが早いと言えますが、あまり体感はできないとも言われているので、ここは神経質にならなくても良いでしょう。
ちなみに筆者はAdobe After Effectsを使ってボカロオリジナルMV等を作ったりしていますが、4分程度の動画に対して使用しているメモリーは16GBを超えていました。(4GB×6=24GB搭載してます)
(使い方で使用メモリ量は変化します)
メモリーについては、8GB×2=16GBか、8GB×4=32GBあたりを積んでおくと良いでしょう。
1-4.グラフィックスボードについて
動画制作や3DCG制作において
グラフィックスボードは、CPU、OS、メモリーと同じぐらい非常に重要なパーツです。
特に
3DCG制作にはグラフィックスボード必須のソフトが多いのが事実です。
グラフィックスボードと言うと、ゲーマー向けのイメージが強いかもしれませんが、実際は映像クリエイトには非常に役立つ機能を持ち合わせています。
その機能とは
GPUアクセラレーション機能です。
GPU(Graphics Processing Unit)は、グラフィックスボードに搭載される、いわばCPUのものです。
パソコン本体に搭載されるCPUほど性能は高くありませんが、画像の描画処理の補佐する役割を持つイメージと言うと分かりやすいかもしれません。
このGPUを使って画像描画速度を高めてくれる機能がGPUアクセラレーション機能(ハードウェアアクセラレーション)です。
GPUのチップは
NVIDIA製と
AMD(旧ATI)製があります。
このチップを組み込んだグラフィックスカードが各社から沢山リリースされています。
GPUに関して言えばNVIDIA製もAMD製も性能に関しては甲乙つけがたい状況ですので、好みで選んでも良いでしょう。
日本だけで言えば、NVIDIAの方がシェアがあると思います。
- NVIDIA製であれば、GeForce GTXシリーズか、Quadroシリーズ
- AMD製であれば、Radeon HDシリーズか、FireProシリーズ
あたりが良いと思います。
使う予定の動画ソフトや3DCGソフトの必要システム構成には、GPUアクセラレーション対応表が載っていますので、必ず確認しておきましょう。
また、グラフィックスカードは
マルチモニターに対応している製品が多く、2つ以上のモニターをサポートしている事が多いです。
動画編集や3DCG等では、多くの情報を画面に表示させる必要があります。
その際にマルチディスプレイ環境だと作業効率も上がりますので、グラフィックスカードの導入は、このような場合にも恩恵をもたらすのです。
1-5.HDD&SSDについて
クリエイター向きのパソコンに関わらず、パソコンに保存されるデータの容量は増大傾向にあります。
特に、動画制作や3DCGムービーを作る場合、ひとつの作品データでも数GBの容量を必要とする場合があります。
こうしたデータは
HDD(Hard Disk Drive)や、
SSD(Solid State Drive)といった
データ記憶装置に格納することになります。
SSDは半導体にデータを記憶させる装置で、高速に読み書きが出来る分、1GBあたりの容量単価が高い為、大量のデータ保管にはあまり向きません。
反面、HDDは磁気を塗布した金属製の円盤を回転させてデータを読み書きするので、SSDに比べるとデータ転送量は高くないですが、1GBあたりの容量単価は安くなります。
したがって、
SSDは起動ディスクに設定し、OSやアプリケーションソフトをインストールして、HDDをデータの保管場所にするのが現在の主流となっています。
昨今はアプリケーションソフトの容量も大きくなってきていますので、SSDは250GB以上のものを導入すると安心だと思います。
2.パソコンはどこで買うべきか
さて、ここまで動画制作&3DCG制作向けのパソコンに必要なパーツの説明をしてきましたが、こうした条件を満たしたパソコンはどこで手に入れたらよいのでしょう?
家電量販店で扱っている、NECや富士通製のパソコンでは満足いく性能を持ち合わせていません。
これらのパソコンはナチュラルブランドと言われ、主なターゲットは一般ユーザー向けに作られています。
その為、不特定多数のユーザーの使用用途に対応するために、様々なアプリケーションソフトウェアが最初からインストールされています。
例えば、家計簿ソフトや年賀状作成ソフト、フォトアルバム等がそれに該当するでしょう。
これらのプリインストールされているアプリケーションソフト代も含めたのが、いわゆる店頭表示価格です。
さらに言えば、バックグラウンドで動作するソフトもあり、余計なメモリとCPUを食う状態なので、クリエイト作業をする時の“邪魔”以外の何物でもありません。
かといって、パーツを買ってきて自分でパソコンを組み立てる=自作パソコンは、パーツを壊してしまうと保証が効かない、パーツ同士の相性問題で動作しない等のリスクもあったりして、少し敷居が高く感じられると思います。
こうした要望に応える為、現在は
BTOパソコンを扱うお店が増えてきました。
3.おすすめはBTOパソコン
BTO(Build To Order)とは、
受注生産方式の事です。
簡単に言うと、お客さんから「こんなパソコンを組み立てて作って欲しい」という要望に応える
パソコンショップと思っていいでしょう。
パソコンを組み立てると聞くと、少しマニアックな印象を持つ人もいるかもしれませんが、自分の予算に合わせた構成を作ることができるので実は
非常にコストパフォーマンスに優れているのです。
当然、ナチュラルブランドの様に不要なアプリケーションソフトも省いてあるので、その分の金額を性能につぎ込むことが出来ます。
イメージとしては、BTOショップオリジナルパソコンをベースに、搭載するCPUや、OS、メモリー、グラフィックスボード等をパーツリストから選んでカスタマイズする感覚なので、高度な専門知識などは不要です。
もちろん、BTOショップが用意するパーツメニューはパーツの相性問題と言った物も確認済のものがほとんどですので、安心して組み合わせを選べるのが嬉しいです。
自分の予算内で、どこを重点に置き、どこをコストカットするかも自分で決められるので、Webサイトで自分オリジナルのパソコン構成を色々と試してみるのも結構面白いですよ。
最後に、こうしたBTOパソコンメーカーのなかでも
おすすめのショップをご紹介しておきたいと思います。
3-1.ドスパラ
ドスパラ
ドスパラ
は全国展開しているBTOショップで、色々なところで見かけるのでご存知の方も多いと思います。
標準で1年間の保証が付き、選択できるパーツも多く、価格と品質にバランスが取れた優良BTOショップのうちのひとつです。
Webショップでの、パソコンカスタマイズも行いやすいのもポイントです。
動画制作用のパソコンも、3DCG制作用のパソコンも共に
「TOPページ」→「クリエイターパソコン」→「NVIDIA Quadro搭載PC」か「NVIDIA GeForce搭載PC」
から選ぶと、カスタマイズがしやすいと思います。
おすすめは、やはり
グラフィックスボード「NVIDIA Quadro」搭載PCでしょうか。
少し価格は張りますが、GeForceに比べても業務用アプリケーションに最適化されており、正確な描画が可能です。
ちなみに僕もドスパラで作ったBTOパソコンを使っています。
>>ドスパラのBTOパソコンのレビュー記事へ
3-2.マウスコンピューター
マウスコンピューター
マウスコンピューター
はBTOショップの中でも
価格が安い事で有名で、今回紹介しているBTOショップの中でも一番安いので、高性能パソコンを少しでも安く手に入れたいならココでしょう。
ですが、安い=品質が悪いという事では決してなく、このあたりは企業努力として評価できる点だと思います。
信頼の
国内生産で主に通販での販売になりますが、秋葉原、春日部、大阪、名古屋、博多等の大都市に店舗も構えています。
また、サポートが充実しているのも大きなポイントで、標準で1年保証がついているほか、オプションで3年まで保証が延長でき、
24時間365日の電話サポートも行っているので、BTOパソコンが初めての方にも安心してご利用いただけると思います。
動画制作、3DCG制作用のパソコンは、
「TOPページ」→「クリエイターPC」→「
for QUADRO」
から選ぶと、カスタマイズがしやすいと思います。
電源が350Wだとかなり不安なので、500W以上のモデルを選択するのを強くおすすめします。
3-3.TSUKUMO
TSUKUMO
TSUKUMOはBTOショップの定番中の定番で、初心者にも優しく、
評判も良いショップです。
もともとはPCの自作パーツショップであり、本店は秋葉原にあります。
BTOショップとしてはパーツの選択肢が少ないのですが、 CPUやOS、メモリ、グラフィックスボード、HDD&SSDはちゃんと選べますので、動画制作や3DCG制作を行うパソコンを組むのには問題無いでしょう。
個人的には、メモリーに品質の高い
SanMax製を、電源に信頼性の高い
80PLUS認証電源を採用しているところが高評価です。
動画制作、3DCG制作用のパソコンは
「TOPページ」→「
Quadro搭載PC」
から選ぶと、カスタマイズがしやすいと思います。
4.まとめ
動画制作・3DCG向けのパソコンは、かなり高度な処理を求められるので、それに応じたパーツ構成にしなければなりません。
僕自身、Adobe After Effectsを作って動画制作を行っていますが、パソコンの性能は高ければ高いほどストレスなく作業が出来ると思います。
ですが、パソコンは高価な物なので、コストパフォーマンスに優れ、なおかつ使用用途に適したBTOパソコンを扱うショップを紹介させて頂きました。
予算のあることなので、高性能すぎるのはなかなか手に届かないと思いますが、最初にコストを抑え過ぎると後々快適に作業できないことが出始めるかもしれません。
ケチりすぎて、結局あとで買い直す羽目にならないように気を付けて下さい。
とにかく、
CPUとSSD(起動ディスク)の、この2つだけは交換するのが非常に厄介なのでケチらない方がいいでしょう。
グラフィックスボードは色々種類がありますが、取り換えるのは比較的簡単ですし、メモリーは後から増設するのでも良いと思います。
これから動画制作や3DCGを始めようと考えている方や、パソコンの買い替えを検討している方は、今回紹介したBTOパソコンショップで賢く、高性能なパソコンを手に入れてくださいね。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
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