DTMとは?
DTMとは、
DeskTop Music(デスクトップ・ミュージック)の略称です。
一昔前は、コンピューター・ミュージックと言われており、簡単に説明すると、パソコン等で音楽制作を行うことです。
パソコン等と表記しましたが、今はiPhoneやiPad、Android等のタブレットでも音楽制作を行えるようになったので、必ずしもパソコン限定という事ではないのです。
DTMでできること
DTMでは、音に関する作業は大抵こなすことが出来ると思います。たとえば、
- ゼロから自分の思い通りの曲を作ることができる。
- 自分の歌や演奏を録音して、編集する事ができる。
- 楽器が演奏できなくても、ソフトウェアを使用して様々な音色を奏でたり、歌を歌わせる事ができる。
- 音のデータを繋ぎ合わせたり、不要な部分をカットしたり、加工することができる。
- パソコンを楽器の様に演奏することができる。
といったことが、DTMでは可能です。
最近はパソコンの性能も非常に高くなっており、楽器が出来なくても自宅で音楽制作が出来るようになりました。
つまり、楽曲制作などが趣味レベルで行えるようになり、作曲などの敷居が非常に低くなったと言えます。
DTMで作曲中の様子ニコニコ動画や
YouTube等で流行っている、
VOCALOIDオリジナル曲制作や
東方アレンジ、
歌ってみた等もDTMの成せる業と言う事ですね。
DTMは万能ではない
確かに音楽業界の人間でなくても、簡単に自宅でDTMを楽しめるようになりましたが、誤解してはならないこともあります。
それは、誰でも簡単に作曲や音楽編集が行える訳ではないのです。
言っていることが矛盾しているように感じるかもしれないので説明しましょう。
DTMは環境さえ整えば誰でも始められますが、作曲や音楽編集とは、誰でも“簡単に”出来るものではなく、それなりに勉強や知識・経験も必要と言う事です。
DTMは簡単に始められる ≠ 作編曲は簡単にできる
であり、イコールではない事を予め頭に入れておいた方が良いでしょう。
楽譜を読めなくても、楽典を知らなくてもDTMでは作曲はできますが、あくまでも作業するのは人間であり、貴方であると言う事です。
DTMの作業の核となるDAWとは?
ここからは、パソコンでDTMを行う前提で説明をすすめていきます。
DTMを行う上で必要になってくるものは、
パソコンと
DAW(=音声編集ソフト)です。
DAWとは、
Digital
Audio
Workstation(デジタル・オーディオ・ワークステーション)のことで、主にパソコン上で動作する
DTMの中心となるソフトウェアのことです。
DAW 「Studio One 2 Artist」の画面過去の記事「
DAWってなんだ?現役ボカロPがこっそり教えるエントリーDAW」でも紹介しましたが、DAWでは音声の録音や編集はもちろん、ソフトウェア音源を鳴らしてギターやドラムを演奏させたり、それぞれの音にエフェクトをかけたりすることができます。
要するに、先ほど「DTMでできること」で紹介したものは、すべてこのDAWで行うことが出来ると言う事です。
例えば、自分で作ったオリジナル曲をソフトウェア音源で演奏させ、それに合わせて自分の歌声を録音して合体させ、ひとつの楽曲にすることが出来ます。
もちろん、すべて生演奏を録音して合成することも出来ますし、逆に全てソフトウェア音源でオリジナル曲を作ることも可能です。
DAWでギターやドラム音源を演奏することができる
DAWではどんな作業をするのか?
DAWで、どんな事が可能になるかはある程度想像できたと思いますが、DTMが初めての方にとっては、DAWで実際にどのような作業をしていくことになるのか気になりますよね。
そこでDAWで行う作業について説明していきましょう。
音の録音する
自分の歌声やギターなどの楽器の演奏を録音をしたい場合は、DAWの録音機能を使います。
ニコニコ動画やYouTubeでは、歌ってみたや演奏してみたカテゴリ等は、必ず使用する機能ですね。
DAW Cubase7のボーカルトラックDAWでは、録音ボタンを押すことで自動的に接続したマイクやギターなどの音を録音し、音声データとして保存して加工をすることが出来ます。
1回で完璧な録音が出来なくても、何テイクか録音して良い部分だけ繋ぎ合わせ、ひとつのオーディオファイルの様に扱う事が出来るので、納得いくまで何回でも録り直しが出来るのです。
また、録音する時に便利なメトロノーム機能や、自分の演奏している音にエフェクトをかけて、リアルタイムに聴くことが出来る機能も備えています。
こうした音の録音にあたって必要になるものは、
オーディオインターフェイスと言われる外部機器です。
オーディオインターフェイス Steinberg 2x2 UR22オーディオインターフェイスについては、
「おすすめのオーディオインターフェイスで歌ってみたに差をつける」で詳しく紹介したのですが、もう一度おさらいしておきましょう。
オーディオインターフェイスとは、パソコンにUSBやFireWireケーブルなどで接続する、音の出入り口となるハードウェアのことです。
このオーディオインターフェイスには、高性能なマイクやギターのシールドを直接接続することができる上、適切なモニタリング環境を提供する、
モニターヘッドホンや
モニタースピーカーを接続することも出来ます。
オーディオインターフェイスは、PC備え付けのマイクジャックやヘッドフォン端子とは比べ物にならないほど、高音質で録音・再生が可能な機器であり、録音をしなくてもDTMを行うのであれば用意しておきたい機材のひとつです。
また、オーディオインターフェイスと同じぐらい大切で、DTMを始める際に用意しておきたい機材に
モニターヘッドホンがあります。
モニターヘッドホンは、音楽スタジオ等でも使われている、あくまでも原音を忠実に再現する能力をもったヘッドホンです。
定番中の定番 SONY MDR-CD900ST不特定多数のリスナーが自分の作った楽曲を聴く際、そのリスニング環境はそれぞれ異なります。
クリエイター側は、リスターがどのような環境で再生しても快適に聴ける音楽を提供してあげることが大切です。
そこで、原音を忠実に再現できるモニターヘッドホンで音の確認をすることが重要なのです。
モニターヘッドホンについては、
「高音質でおすすめDTMで人気のモニターヘッドホン厳選5」で詳しい解説と紹介をさせて頂いているので、まだお持ちでない方は確認しておきましょう。
ソフトウェア音源を使う
曲を作ろうとする際に、すべての楽器をすべて録音できれば一番良いのですが、なかなかそうもいきませんよね。
ギターは弾けてもドラムは叩けなかったり、鍵盤は苦手だったり…。
楽器は全くダメという方も少なくないでしょう。
DAWでは、
ソフトウェア音源(インストゥルメント)を使用して、それぞれの楽器の音色を再現することが出来ます。
Native Instruments のピアノ音源 New York Concert Grandこうしたソフトウェア音源は、DAW上ではどのようにしたら、自分の思い通りに演奏してくれるのでしょう?
答えは簡単、どのタイミングでどの音をどれぐらいの強さで演奏する等と指定してあげるのです。
わかりやすく言えば、DAW用に楽譜を作ってやるのと同じことです。
楽譜なんて読めない…という方も多いでしょう。
DAWには
ピアノロールという画面があり、楽譜とは違って直感的にどこの音を、どのタイミングで鳴らし、どこまで伸ばすかが視覚的に分かりやすく、データが打ち込めるようになっています。
DAW Cubase7のピアノロール画面上の画像だと、低い音は下の横棒、音程が上がると上の方に表示されます。
横棒の長さは音の長さを表しています。
画面下の縦の棒は、音の強弱を示しています。
これらの音情報は
MIDIデータとも呼ばれており、いわばパソコン用の楽譜と言い換えても良いでしょう。
違う言い方をすれば、パソコンに音を鳴らす為の信号をプログラムすることと同じことです。
このように書くと、全部MIDIデータを打ち込まなければソフトウェア音源は思い通りに鳴らない気になってしまいますが、そこはパソコン。
キースイッチと呼ばれる特定のMIDIデータを入力してあげることで、アルペジオを勝手に演奏してくれたり、和音で奏でられたりする便利な機能もあるので安心して下さい。
DAWによっては、予めドラムのリズムパターン等の
MIDIループ素材が含まれていたりしますので、必ずしも全て入力しなければいけないという訳でもありません。
また、入力したMIDIデータはコピー&ペーストして繰り返し使えるので、こうした機能を上手に使っていくといいでしょう。
ですが、やはり1音1音マウスでMIDIデータを作るのは大変な作業です。
こうしたMIDIデータはマウスを使って手入力も出来ますが、もっと便利な方法もあります。
それは
MIDIキーボードを使用するのです。
Roland MIDI Keybord A-49MIDIキーボードを使う事で、音を一つ一つ入力無くても、同時に和音で入力出来たり、録音ボタンと連動してキーボードを弾いた通りに、MIDIデータとして保存する機能がDAWには備わっています。
MIDIキーボードの中にはドラムパッドを装備しているものもあり、そうしたMIDIキーボードではドラムの打ち込みも可能になっています。
マウスで1音1音入力していくよりも遥かに手間がふぶけるので、鍵盤が弾けなくても持っておきたい機材のひとつです。
MIDIキーボードについては、
「もはや常識!DTMの作業効率を格段にアップさせるMIDIキーボード」で、おすすめできる機材を紹介していますので、あわせてご覧ください。
オーディオデータを扱う・加工する
ソフトウェア音源だけでなく、
オーディオデータを組み合わせて曲を作ることもDAWでは可能です。
多くのDAWには、曲作りに使える様々なオーディオ素材を収録しています。
その中には効果音的なものから、トラックに繰り返し張り付けてひとつのパートとして成り立つループ素材などが存在します。
DAW Cubase7のMediaBayこうしたオーディオ素材を用いると、ドラムトラックなどは非常に簡単に作れてしまいます。
気に入ったものをDAWのトラック上にドラッグ&ドロップするだけですからね。
もちろん、オーディオ素材はDAW上でテンポやキーを変更することも可能なので、市販のオーディオ素材集を組み合わせて使うのも良いでしょう。
また、DAWを使って楽曲制作などを行う場合は、自分で録音した歌や演奏、VOCALOIDの歌声等をDAWでは加工する場面も少なくありません。
例えば歌を録音した場合、微妙に音程が取れていなかったり、タイミングがずれていたりすることもあるでしょう。
こうした時に、録音したオーディオデータを編集して調整することになります。
下の画像は、録音した歌声のピッチをDAW付属の機能で調整している画面になります。
オーディオデータのピッチ補正オーディオデータを途中で分割したり、別々のオーディオデータを切り貼りして一つのトラック(パート)を作ることも、DAWを使ったDTMではよく行われる作業でしょう。
このように、オーディオデータの編集や加工を行う作業もDAWの成せる業という訳です。
複数の音源をMixする
DTMでは、オリジナル曲の制作を行うのはもちろん、録音した音声データを他のオーディオトラックを合成することも、楽曲を作る工程で必要な作業となります。
ソフトウェア音源で伴奏を演奏させ、録音したボーカルを合成し一つの曲として組み立てる等、複数の音源を混ぜて合成することをDTMでは「
Mix(ミックス)する」といいます。
ほとんどのDAWにはミキサー機能が搭載されており、多くの音源を同時に再生することができます。
複数のトラック(パート)とミキサー画面画像では分かりやすく、赤をオーディオデータ、青をソフトウェア音源と色付けしましたが、こうした様々な音源を組み合わせて、ひとつの楽曲を組み立てているのです。
しかし、このMixという作業。
初心者にとっては非常に難しく感じる作業かもしれません。
かくいう僕も未だに苦手な作業であり、非常に奥の深い世界となっています。
Mixという作業は、ただ色々な音源を並べるだけではゴチャゴチャして聴きづらい音になってしまうため、各トラックごとにボリュームを調整したり、定位(音の鳴る左右の位置)を調整したりします。
さらに各音色の音の周波数を、イコライザーというエフェクトを使って削ったり持ち上げたりして、聴き取りやすく調整する作業が必要になります。
DAWに付属しているEQ=イコライザーイコライザー以外にも、音を圧縮するコンプレッサーや、響きを調整するリバーブやディレイなど、沢山のエフェクトを駆使しながら、最高の音楽を目指してパラメーターと格闘していくのです。
上手にMixするには、本当に経験を積んでいくことが大切だと思いますし、馴れてくると何をどうすれば良いかが感覚としてわかってくると思います。
ひとつ確実に言えるのは、作曲にしてもMixにしても、「繰り返し実践あるのみ」であって、何度もやらないと上手になりません。
プロの人も、最初から完璧なMixが出来た訳ではなく、下積み時代があったという事です。
マスタリングで総仕上げをする
最終的にはMixの延長線上として、Mixし終わった音源を更に仕上げる
マスタリングという作業もあります。
マスタリングについては
「音圧が上がらないあなたへ~おすすめのマスタリング・プラグイン」で詳しく説明させて頂きましたが、
楽曲の総仕上げとして音質や音圧、雰囲気などの味付け等を行う作業です。
マスタリングでは、イコライザーやリバーブの他にも、マルチバンド・コンプレッサーやリミッター・マキシマイザーといったエフェクト・プラグインを使用します。
マスタリングで使用するマルチバンド・コンプレッサーこのマスタリングという作業もMix同様、最初は思い通りの音にならないなどの難しい部分が多いのですが、こちらも経験が必要な作業です。
ここまでの工程を経て、ひとつの完成された楽曲が生み出されているのです。
まとめ
これからDTMを始めたい人向けに、初心者の方にDTMやDAWとはどんなものなのかを知ってもらいたくて書いた記事でしたが、いかがでしたでしょうか?
「うわぁ…難しそう」
「ホントに自分に出来るのかな…」
と、心配になってしまいそうですが、大切なのは「DTMをやりたい気持ち」と、「チャレンジ精神」だと思います。
逆を言うと、DTMを始めることで、こういった作業があなたにも出来るようになるチャンスであり、「面白そう!」と思って初めてみるといいでしょう。
是非、楽しいDTMの世界に入って、自分だけの音楽の世界を作り上げていきましょう!
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最後まで記事を読んで下さってありがとうございました!
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