モニタースピーカーがDTMに必要な理由と、人気の定番モデル|ニコニコ道具箱

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次世代のクリエイターの方にお伝えしていきます。

モニタースピーカーがDTMに必要な理由と、人気の定番モデル

モニタースピーカーって、DTMの機材の中では購入を後回しにする方が多いのではないでしょうか?
実際、僕も「モニタースピーカーなんか無くても曲作れるから…」と購入をずっと後回しにしてきてました。

ですが、とある理由でモニタースピーカーを導入することを決意。
結果、色々と発見があったので今回はモニタースピーカーについて紹介したいと思います。

烏賊P制作環境
※僕のDTM環境 モニタースピーカーはFOSTEX PM0.4n

目次

1.モニタースピーカーを導入した経緯


冒頭でもお伝えしたとおり、僕もモニタースピーカーについては購入を見送っていた人間の一人です。
そんな僕がモニタースピーカーを購入しようと思ったきっかけは、ヘッドホン以外で音楽を再生する機器が自宅に無かったからです。

音楽と言うものは、人それぞれ聴く環境が違うので、どれだけヘッドホンやイヤホンで良い音に聴こえても他の再生機器で良い音に聴こえなければ意味が無いのです。 

ですから、僕は楽曲制作時にヘッドホン、安物のイヤホン、スマートホンからの再生、カーオーディオからの再生等、様々な再生環境で音の確認をしています。
様々な再生環境で自分の作った曲を再生することは、多くのリスナーにより良い音楽を届ける上で大切な事だと考えています。

実際にプロのMixエンジニアも、モニターヘッドホンやモニタースピーカーで制作した楽曲を、様々なデバイスで再生して音源を確認しているそうです。
そう考えれば、音楽スタジオにCDラジカセ等が置いてある理由も頷けますね。

僕はプロでもなければ、有名なボカロPでもありません。
ニコニコ動画の再生回数も1万4千回再生台程度です。

逆に、だからこそモニターヘッドホン以外でしっかりと原音をモニター出来る環境を整えたかったのです。
百聞は一見にしかず、モニタースピーカーを導入することにしました。


2.モニタースピーカーの必要性とは

Yamaha MSP3
※YAMAHA MPS3

モニタースピーカーを導入する必要性はどのような事があるのでしょうか?
今回モニタースピーカーを導入してみた経験談も交えながら説明していきたいと思います。


左右の音の干渉を把握できる


イヤホンやヘッドホンは、左右の音が直接耳に届きます。
左右の音が干渉することなくダイレクトに耳に入ってくるので、モニターするには良いように思えますが、ここが意外な落とし穴だったのです。

スピーカーで曲を再生すると、一旦「部屋」と言う空間にLRの両方の音が放たれます。
モニタースピーカーを自分と逆正三角形に設置し、リスニング環境を整えたとしても、Lで鳴っている音も右耳で聴き取ることができます。

するとどうでしょう?
今まで、ヘッドホンでしっかり聴き取れている音が反対側の音と干渉しているではないですか!
これは想像していなかったので、驚きました。

そうなんです。
音楽と言うものは、スピーカーで再生すると、左右の音の干渉が起きるんですね。

どれだけイヤホンやヘッドホンで最良のMIXをしても、LRを別々に聴いている以上、スピーカーで鳴らした時の左右の音の干渉がわからないのです。

つまり、様々なリスニング環境で再生される『音楽』というものは、スピーカーで再生することも想定してMIXしないとダメと言う事です。


モニターヘッドホンより再生能力が高い


原音を忠実に再現するのはモニターヘッドホンと変わりません。
ですが、LRの音の干渉を把握する意味ではモニターヘッドホンより優れていると言えます。
>関連記事「高音質でおすすめ!DTMで人気のモニターヘッドホン厳選5」

加えて、モニタースピーカーはヘッドホンよりも音の再生能力が優秀です。
ヘッドホンはひとつのドライバー(=ヘッドホン内のスピーカーのこと)で低域から超高域の音を鳴らしています。
と言うより、鳴らさなければなりません。

ヘッドホンは、その特性上ひとつのドライバーで片チャンネルの全ての帯域を再生するので、ドライバーのコーン(=スピーカーの振動板)は非常に複雑な動きを要求されてしまうのです。

それに比べてモニタースピーカーは、多くの場合2WAY方式を採用しています。
2WAY方式とは、ツイーターと言う高音域のみ再生する小型スピーカーと、ウーファと言われる中~低音域を再生するスピーカーの2つで音を再生する方式です。

4n
※2WAY方式のモニタースピーカー

2WAY方式は内部の回路で、ツイーターとウーファーの再生帯域を分けており、それぞれ得意とする音域を鳴らせるようにチューニングがされています。
それぞれの得意な音域を鳴らすことが出来るので、ヘッドホンに比べると低域と高域の輪郭がハッキリします。

そもそも、ヘッドホンハウジングに収まるドライバーの口径は、せいぜい直径55mm前後です。
低音域の再生は、スピーカーの口径が大きい方が有利です。
コンパクトなモニタースピーカーでも、ドライバーの口径は100mm以上はあります。

低音域の再生能力が高いと言う事は、より正確に低音を再生できるという事です。
ヘッドホンに比べてドラムのキックやベースの粒が如実に再現されるので、低音域の音作りもより細かく行えるようになります。

高音域も同様に、ツイーターが1.5kHz付近以上の高域を担当して再生してくれます。
ツイーターのコーン(=振動版)は低音域を再生する必要が無いので、非常に伸びやかに、ストレスなく超高音域まで気持ちよく再生してくれます。

以上の点から、モニタースピーカーはモニターヘッドホンに比べて原音再生能力が高いと言えるのです。


3.モニタースピーカー設置の基本


モニタースピーカーを導入するにあたり、その性能を最大限引き出す為の基本セッティングを知っておきましょう。
必ず全て守らなくてはならない訳ではありません。
ですが、自分のDTM環境で、ひとつでも多く取り入れられる様に努力すると良い結果が得られます。

  • 左右のスピーカーと自分が逆正三角形を描くのが基本。
    必ずしもそうしなければならない訳ではない。
    各スピーカーの間隔を広げると、その分だけステレオ感が出る。

  • スピーカーは壁と出来るだけ離した方が良い。
    理想は30cm以上。
    難しい様であれば、背面に吸音材やカーテンを引くなどをすると良いです。

  • スピーカーの向きは自分に向ける事。
    その際、スピーカーの角度は同じにすることが大切です。

  • 左右のスピーカーケーブルの長さは必ず同じ長さにする。
    可能であれば、必要最低限の長さにすることをお勧めする。
    ケーブルの長さが違えば音も変わってきますし、長くなるほど外部ノイズを拾う可能性が高まります。

  • スピーカの高さはツイーターが自分の耳の高さになるようにする。
    基本は耳の高さ=ツイーターの高さです。
    音の特性上ツイーターは指向性が狭いので、ツイーターの位置が耳より高いと高音が強調され、低いと中~低域が強調されてきます。(縦置きの場合)

  • 置く場所は安定した場所へ置く。
    そして出来る限り、頑丈で固いものの上に置くのが理想です。
    良く見かける例としては、レンガやコンクリートブロックを机の上に置き、その上にモニタースピーカーを置く方法でしょう。
    場所に余裕があれば、モニタースタンド等が望ましいと思います。
    また、スピーカーの振動をコントロースするアイテムとしてインシュレーターと言うものがあるので、頭の片隅に置いておきましょう。

    audio-technica ハイブリツドインシユレーター AT6099



4.モニタースピーカーのカタログ専門用語


モニタースピーカーのスペックを表す規格等の用語は、初心者の方には見慣れないものも多いですね。
ここでは特に重要な規格・用語について説明します。

必ずしも数字が大きいから良い音、高性能という訳はありません。
ですが、自分の求めているモニタースピーカーを探し出すための指標になるので、この機会に覚えてしまいましょう。

  • ■再生周波数帯:
    再生周波数帯は静特性は、モニタースピーカーが無理なく再生できる音域の範囲です。
    単位はHz(ヘルツ)で表記されます。
    この範囲が広いほど、超低域から超広域まで無理なく再生できます。

  • ■クロスオーバー周波数:
    モニタースピーカーが2WAY以上のスピーカーで構成されている場合、帯域の境目(クロスポイント)となる周波数の事です。
    単位はHz(ヘルツ)で表記されます。
    例えば「1.5kHz」となっている2WAYスピーカーの場合は、1.5kHzより下の帯域はウーファが、1.5kHz以上の帯域をツイーターが主に再生します。
    実際は、音の繋がりが不自然にならないようにウーファーも1.5kHz以上の音は再生しますが、1.5kHz以上は高い音になるにつれて音も小さくなります。

  • ■定格出力:
    定格出力とは、モニタースピーカーの持つパワーの値の事です。
    正確には、長時間連続して歪まないで音を出せる内蔵アンプの出力のことです。
    単位はW(ワット)で表記されます。
    この値が大きいほど大音量でパワフルに鳴らすことが出来ます。

  • ■入力端子:
    これはスペックを表すものではありませんが、モニタースピーカーに接続するケーブル端子の種類です。
    フォーン、RCA、XLRが主流となっています。
    お使いのオーディオインターフェイスから繋ぐケーブルを用意する際に必ずチェックしておきましょう。

5.人気の定番モニタースピーカー

DTMで人気なモニタースピーカーは何と言っても、アンプが内蔵されているパワードスピーカーだ。
オーディオインターフェイスに繋いで、コンセントから電源を取るだけで原音に忠実な音がすぐに得られるからでしょう。
また、大音量が出せない住宅事情を考慮して、小型のモニタースピーカーが人気の様です。

最後に、DTMで定番の人気モニタースピーカーを紹介したいと思います。
モニタースピーカーはペアで売っている場合もありますが、1つずつで売っている事も多いです。
ペアで必要な場合は2つ購入するようにしましょう。


YAMAHA MPS3

YAMAHA MSP3 ペア

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YAMAHA MPS3

おすすめ度:★★★★★
参考価格ペア:¥23,600前後

■メーカーHP:YAMAHA
■再生周波数帯:65Hz~22.0kHz
■クロスオーバー:4.0kHz
■定格出力:20W
■サイズ:幅 144mm/高 236mm/奥 167mm
■入力端子:RCA、XLR、フォーン

YAMAHAの定番中の定番であるモニタースピーカー。
スモールサイズながら20Wの出力で自宅でのDTM環境では十分なパワーが出せる。
前面に配置されたトーンコントロールやボリュームも使いやすくて◎
吊り下げ用のネジ穴もあり、小型モデルならではの仕様となっている。
コストパフォーマンスが高く、非常におすすめできる製品でもある。


YAMAHA MSP5 STUDIO

YAMAHA MSP5 Studio ペア

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YAMAHA MSP5 STUDIO

おすすめ度:★★★★★
参考価格ペア:¥42,400前後

■メーカーHP:YAMAHA
■再生周波数帯:50Hz~40.0kHz
■クロスオーバー:2.5kHz
■定格出力:40W
■サイズ:幅 179mm/高 279mm/奥 208mm
■入力端子:XLR、フォーン

YAMAHA MSP STUDIOシリーズはスタジオモニターの業界スタンダードとも言われる存在。
本格的にやる方やプロフェッショナル向きとも言える。
有名なボカロPだと、オワタPやダルビッシュP他、多くのボカロPが使っている点にも注目したい。
サイズは先ほどのMPS3と比べて、ひとまわり大きいので、購入の際は設置スペースが確保できるか確認した方が良いでしょう。


FOSTEX PM0.4n

FOSTEX プロフェッショナル・スタジオ・モニター ホワイト PM0.4n(W)

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FOSTEX PM0.4n

おすすめ度:★★★★
参考価格ペア:¥19,300前後

■メーカーHP:FOSTEX
■再生周波数帯:60Hz~30.0kHz
■クロスオーバー:1.5kHz
■定格出力:18W×2
■サイズ:幅 144mm/高 220mm/奥 180mm
■入力端子:フォーン、RCA

FOSTEXのプロフェッショナル・スタジオ・モニター。
バイアンプ方式を採用しており、ツイーターとウーファーにそれぞれ18Wのアンプで駆動する為、スモールサイズながら非常にパワフルに鳴ってくれる。

コストパフォーマンスが非常に高く、見た目も可愛いので僕も非常に気に入って使っています。
カラーラインナップが豊富で、ブラック・ホワイト・レッド・イエロー・パープルの5色から選べるのも嬉しいポイント。
PM04nカラー
※PM0.4nは5カラーから選べる


FOSTEX PM0.5n

FOSTEX プロフェッショナル・スタジオ・モニター ブラック PM0.5n(B)

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FOSTEX PM0.5n

おすすめ度:★★★★☆
参考価格ペア:¥23,800前後

■メーカーHP:FOSTEX
■再生周波数帯:55Hz~20.0kHz
■クロスオーバー:2.0kHz
■定格出力:35W×2
■サイズ:幅 181mm/高 280mm/奥 260mm
■入力端子:XLR、フォーン

先ほどのPM0.4nと比較するとひとまわり大きいサイズになり、出力もバイアンプ方式35W×2と強化されている。
量感溢れる低域が強化されたことで音楽性がさらに磨きがかかったモデル。
カラーはブラックとホワイトの2色ラインナップされている。
入力端子が0.4nと違い、RCAは無くなっているので買い替えの場合は気を付けて欲しい。


GENELEC 6010B

【国内正規輸入品】GENELEC 6010B (マットブラック/Pair)

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GENELEC 6010B

おすすめ度:★★★★☆
参考価格ペア:¥67,800前後

■メーカーHP:GENELEC
■再生周波数帯:74Hz~18.0kHz
■クロスオーバー:3.0kHz
■定格出力:12W×2
■サイズ:幅 121mm/高 181mm/奥 114mm
■入力端子:RCA

レコーディングスタジオやプロの制作現場で定番であるGENELEC社のモニタースピーカー。
非常にコンパクトなサイズであるが、このサイズからは想像も出来ないほど解像度の高いサウンドで鳴ってくれる。
サウンドハウスのレビューでも満点評価で、そのクオリティーはプロ・アマ問わず認められている。
少々値段が張るので、おすすめ度は-1にしたが、資金に余裕がある方は候補の一つに入れてもいいと思います。


6.まとめ


DTMにモニタースピーカーが必要な理由と、人気の定番モデルについて紹介させて頂きました。
モニターヘッドホンに比べると、やや値段が張り、置く場所等も考えなければなりませんが、それに見合うだけの価値をもたらしてくれるのは確かです。

様々なリスニング環境で音楽というものは聴かれるので、多くの人に自分の楽曲を気持ちよく聴いて欲しい方は、モニタースピーカーは必需品となってくると思います。

また、僕自身モニタースピーカーを導入して思ったのが、見栄えの問題です。
やっぱり、DTMやっているならモニタースピーカーがあるとカッコいいじゃないですかw

いや、これは実は非常に大切なことで、楽曲制作のモチベーションを高める事は、曲のクオリティーも上がる事に繋がるんですね。
その上、モニター環境を整備することで本当に曲のクオリティーも高められるなんて、一石二鳥だと思うんです。

モニタースピーカーの導入を検討している方、興味を持った方は、消費税が10%に上がる前には手に入れておくことをお勧めします。


最後まで記事を読んで下さってありがとうございました!
少しでも、このブログを読んで下さっている皆様の役に立てればと思っております。

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 コメント一覧 (1)

    • 1. hareotoko
    • 2015年10月21日 21:14
    • 5 こんばんわ、初めまして、晴れ男です。とてもこのサイト勉強になりますよ。DTMはこれから始める初心者ですが。かなり勉強になりました。これからも見させてもらうのでよろしくお願いします。音楽は趣味ですが、人の心を変えてくれる1番の癒しだと僕は信じてます。これからも宜しくお願いします。hareotoko

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