歌ってみたのケロケロボイスのやり方とコツ!|ニコニコ道具箱

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歌ってみたのケロケロボイスのやり方とコツ!

ニコニコ動画やYoutubeの歌ってみた動画の中に、歌声がケロケロボイスになっているものを見かけます。

  • 「どうやったらケロケロボイスに出来るのだろう?」
  • 「ケロケロのやり方は知っているけど、上手にケロケロ出来ない!」

そんなあなたに、今回はフリーソフトである「KeroVee」を使ったケロケロボイスのやり方と、上手にケロケロする方法について紹介します。

そんなに難しくないので、みなさんもケロケロしちゃいませんか?

歌ってみたのケロケロボイスのやり方とコツ

ケロケロボイスの仕組み

ケロケロボイスを作る前に、ケロケロボイスの仕組みについて説明しておきたいと思います。

一般的に、ケロケロボイスは「ピッチ補正」というエフェクトを使用して行います。
ピッチとは、分かりやすく言い換えると“音程”と考えると良いでしょう。

もう少し詳しく説明すると、音は空気が振動して起きる音波であり、その振動を周波数(Hz)で表記します。
例えば、ピアノの中央のドの上にある“ラ”の音は440Hzと国際的に決まっています。

この“ラ”の音に合わせて声を出したとしましょう。
“ラ”の音を発音する時に、発音した瞬間から440Hzの“ラ”と寸分の狂いなく声を出せるでしょうか?
ちょっと難しいですよね。

この音程のズレの事を、音楽の世界では“ピッチがずれている”と表現することがあります。

ボーカルの音程を表示
※Cubase 7のVariAudioでピッチを表示

歌ってみたで、音程や音階を気を付けて歌ったとしても、人間である以上、ピッチのズレはどうしても生じてしまうものです。

上の画像でも分かるとおり、歌の音程は常に揺れていて、一定にはならないのです。

また高音が多いサビを歌うときなど、のどが疲れて(正確には声帯)高い音を出すのが辛くなってくると、音程が上がりきらなくなります。

こうした音程のズレ・ピッチのズレを、エフェクトを使って音程を直してやるのが「ピッチ補正」の本来の目的です。

声がひっくり返ってしまったようにケロケロ聴こえるのは、このピッチ補正の副産物のようなもので、これをあえて効果として表現したのが、いわゆる「ケロケロボイス」と言うものなのです。


ケロケロボイス作りに必要なもの

次に、ケロケロボイスをやるのに必要なものについて紹介しましょう。
作業はパソコンで行う方が多いと思いますが、最近はiPad等のタブレット端末でも作業できるようになりました。

今回は一般的な例として、パソコンを使う事を前提に説明をしていきたいと思います。

必要なもの其の一 DAW

今回紹介するケロケロボイスのやり方は、無料のピッチ補正エフェクトを使いますので、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)が必要です。

DAWと言っても、高価な製品版でなくても構いません。
VSTという規格のプラグインが使用できるDAWであれば大丈夫です。

例えば、
  • Audacity
  • Cubase LE
  • SONAR LE
  • Ableton Live Lite
  • MU.LAB
  • Music Studio Producer
  • REAPER
といったフリーソフトやバンドルDAW等でも、VSTプラグインが使えます。
※Studio One FreeとArtist版はVSTの新規追加に非対応の為除外しています。

無料のDAWに興味がある方は、「DTMフリーソフト特集!初心者におすすめの無料DAW」でも紹介していますので併せてお読みください。

もちろん、製品版のDAWを持っているのであれば、それを使ってケロケロボイスを作ることが出来ます。


必要なもの 其の二 ピッチ補正エフェクト

前述したとおり、ケロケロボイスは「ピッチ補正」というエフェクトを使って行います。
ピッチ補正の為のエフェクトは、製品版からフリーソフトまで沢山ありますが、今回は「KeroVee」というフリーソフトを使うことにしました。

KeroVee
※KeroVeeの画面

KeroVeeについては、公式サイトよりダウンロードして下さい。

また、VSTプラグインをDAWに追加する方法は、使用しているDAWにより異なりますので、それぞれの方法で追加をして下さい。
基本的には「dll」ファイルをDAWがインストールしてあるドライブの、DAWフォルダ内にある「VST Prugins」等へファイルを放り込めば出来ると思います。

Cubaseについては、「Cubase LE 7、AI 7にVSTを追加してフリーエフェクトを使う方法」で紹介していますので、参考にするのもいいでしょう。


ケロケロボイスのやり方

それでは早速ケロケロボイスを作っていきましょう。
今回僕はCubaseで説明していきますが、どのDAWでも参考に出来ると思います。

まずは、歌の音源を用意します。
改めて録音するのもいいですし、過去に歌った音源を使ってみてもいいでしょう。

そのボーカル音源対して、VSTプラグインエフェクトのKeroVeeを適用してあげます。

KeroVeeを起動
※Cubaseでボーカル音源にKeroVeeをインサートした

この状態で再生すると、すでにエフェクトがかかった状態になっているかと思います。

ですが、このままだと非常に音痴で、声質がロボットみたいになってしまいました。
そこで、各種のパラメーターを調整してあげる必要が出てきます。

パラメーターの説明

パラメーターを調整する前に、それぞれのパラメーターが持つ役割についてお話しておきましょう。

パラメータ説明

  • Tune Speed
    ピッチがズレている箇所を、どれぐらいの速さで補正するかを調整するパラメーターです。
    補正のスピードを大きくするとケロケロし、逆に小さくすると自然な感じで補正されます。

  • Nuance
    原音のビブラート部分に対してどの程度補正するかを調整するパラメーターです。
    ビブラートと言っても、音程の揺らぎの部分という事なので、ビブラートを意識しないで歌っていても対象になります。
    この値を大きくすると、歌声の音程の揺らぎが平坦になるので機械的な声質になります。

  • Amount
    ピッチがズレている部分の音程をどれだけ補正するかを調整するパラメーターです。
    値を大きくすると、音階に従った音程に強力に補正されていきます。
    逆に小さくすると、中途半端な補正になることがあるので、KeroVeeの中では一番扱いが難しいパラメーターと言えます。

  • Calib
    冒頭でお話しした、“ラ”の音=440Hzという部分の調整パラメーターです。
    この基準の音を変更することで、全体の補正される音程に影響がでます。
    馴れないうちは440Hzのまま変更しない方が良いでしょう。

  • Master Vol
    エフェクト使用後の音源の音量を調整します。


パラメータ説明2

  • Formant
    声質を男声⇔女声に変更するパラメーターです。
    Shiftの値をマイナス側に振ると男声っぽく、プラス側に振ると女声っぽい声に変化します。
    Presvのボタンが緑に光っている時は、音程を保ちつつ声質を変化させます。
    Presvをオフにした状態で次の項目のTuningを調整すると音程に変化が出ます。基本的にはオンの状態が扱いやすいと思いますが、Tuningと併せて使うと面白い効果が生まれます。

  • Tuning
    音程を操作するパラメーターです。
    Fineの値を大きくすると少しずつ音程が上がります。
    Transposeの値を大きくすると半音ずつ音程が上がり、最終的には1オクターブ上の声まで上げられます。

  • Output
    エフェクトをかけた歌声の出力を調整するパラメーターです。
    Panは音の定位を調整する為のもので、左に回すと音が左から、右に回すと右からエフェクト後の音が聞こえるようになります。(トラックがステレオの場合のみ)
    Tone1Tone2の2系統の出力ができるので、別々の設定を同時に出力させたい場合や、Panで声を左右に振り分けるなどの際に活用します。
    普通にケロケロするだけならTone 2Volは0で良いです。

  • Bypass
    原音を鳴らしたい場合に調整するパラメーターです。
    初期値は0で、原音は鳴らない状態ですが、原音と混ぜて出力したい場合は値を大きくします。
    Bypassの左のツマミは原音を出力する際のPanの設定となっています。

  • Tune To
    ScaleボタンはKeroVee画面の左側にある、縦型の鍵盤の様なスイッチを有効にする為のものです。
    簡単にケロケロしたい場合は、ここは常にオンが良いと思います。
    MIDIMIDI ChordはKeroVeeとMIDIトラックを連動させてピッチの調整をする、少し高度な技を使いたい人向けの機能です。難しいと思うので、ここは2つともオフにしておきましょう。



Scale Settingについて

Scale SettingScale Settingについては、本当は音楽の知識、和音、コード仕組みを知っていると設定が非常に簡単なのですが、今回は比較的簡単に設定できる方法を紹介しておきます。

まずは、Tune SpeedNuanceAmountを100に設定してしまいます。

次に、C~Bの12個あるボタンの全てをオンの状態にします。

この状態で歌を再生すると、左の画像の様に波形が表示されながら音が鳴るので、一個一個スイッチをオフにしていきます。

オフにして、歌の音程が音痴になってしまう場所はオンのままにしておきます。

大体の場合は、オンが7個、オフが5個ぐらいになると思います。

オフが隣接することはあまりないので、曲を聴きながら音痴にならない丁度良い感じを見つけてみましょう。

この方法については、全ての曲に対して使用できる方法ではないので、難しいと感じたら全てオンでも良いでしょう。

このあと、Tune SpeedNuanceAmountを徐々に値を下げていき、気持ちよく聴こえる部分まで調整していくと良いと思います。


ケロケロボイスの設定例

KeroVeeのパラメーターの持つ意味を理解した上で、ケロケロボイスのパラメーターはどんな感じにしたら良いのか、答えていきたいと思います。

とは言え、ボーカルの声質や、音程の取り方、曲調で変わってきてしまうので、大体の目安としての数値を参考までに紹介しておきましょう。

セッティング例①
セッティング例1

ケロケロボイスの初歩的な例を作ってみました。
TuneSpeedNuanceAmountをそれぞれ80

少し加工的な音質にしたかったので、Formantを12

さらに原音を少し混ぜて、ケロケロしているところが目立つように、Bypassを15

に設定してみました。
Scale Settingは曲によって変わるのですが、今回はこんな感じになっています。


セッティング例②
セッティング例2

同じ曲でガッツリ加工気味のケロケロボイスを作ってみました。

TuneSpeedNuanceは100
Amountは85に設定。

Tone1側は男声を更に低く加工し、Panは左に40程振って、Volは抑えました。

Tone2側は女声に加工し、Transposeを12に設定して、実際の女性が歌った場合のキー(1オクターブ上)を表現して、Panはセンター(ゼロ)に。Volは100でメインとしました。

Bypassは原音を混ぜない0


このような感じで、色々とセッティングを試してみると良いと思います。


上手にケロケロするコツ

上手にケロケロという日本語自体が変なのですが、更に上手にケロケロボイスを作る為のコツについても紹介しておきましょう。

ここ紹介するテクニックについては、実践は難しくても意識することでケロケロしやすくなると思いますので、参考にして頂ければ幸いです。


ピッチ補正を逆手にとる

そもそもケロケロボイスはピッチ補正の副産物みたいなものだと言う事は冒頭でお伝えしましたね。
逆を言えば、ピッチ補正が行われなければケロケロしないのです。

要するに、意図的にピッチ補正がかかるように、歌全体の音程を揺らしてあげる事でケロケロしやすくなる…と言う事になります。

とは言っても、音痴に歌えば良いという訳ではありません。
音痴に歌えば狙った音程に補正されずに、逆に変なメロディーに補正されてしまう場合があるからです。

では、どうしたら良いのかと言うと、「しゃくり」や「ビブラート」等の歌唱テクニックを使ってみましょう。

言葉では伝わりにくいと思うので、“ラ”の音をビブラートをかけて伸ばして歌った歌声の波形画像です。

ビブラート

上記の画像は、分かりやすくするためにボーカロイドにビブラートをかけて歌わせました。

それをKeroVeeを使ってケロケロさせてみると…

綺麗にケロケロ

このように、綺麗にケロケロしてくれます。
ビブラートの音程の揺らぎをKeroVeeが感知して、見事なまでに気持ちよくケロケロボイスを生み出しているのが、お分かりになると思います。

ここまで正確にビブラートをするのは難しいと思いますが、ピッチ補正を逆手に取ったケロケロの上手なやり方のイメージを掴んで頂くことが大切だと思いました。

極端に言えば、ケロケロボイスで歌ってみたを作りたい場合は、ケロケロボイスにすることを念頭に入れて歌う事が大切とも言えるでしょう。


まとめ

さて、今回はKeroVeeというフリーエフェクトプラグインを使用したケロケロボイスのやり方を紹介しました。
KeroVeeの使い方や、ケロケロボイスの仕組みなどご理解頂けたかと思います。

もっと上質なケロケロボイスが欲しい場合は、Perfumeで有名な中田ヤスタカ氏が使っているAutoTuneや、ピッチだけでなくタイミングの補正も出来るMeloDyne等のシェアウェアを使うと良いでしょう。

最後に、KeroVeeの開発者さんがKeroVeeの使い方について触れた動画がありますので貼っておきます。
かなり中毒性のある動画ですので、視聴はお気を付けて下さい…。




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 コメント一覧 (1)

    • 1. 釘宮
    • 2015年08月30日 23:43
    • cubaseでMIDIとリンクさせる方法も教えていただけませんか...?

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