Ableton Live Liteとは
Ableton Liveとは、ドイツのベルリンにある音楽ソフトウェア会社「Ableton」が開発した、
DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)のことです。
Ableton Live Liteは、Focusrite社のオーディオインターフェイスや、DTMツールを制作するnovation社のキーボード等にバンドルされる、
Liveの機能限定版です。
機能限定版とは言っても、ボーカルの録音や編集、ソフトウェア音源を使用した作曲やライブパフォーマンスまでこなせる優秀なDAWなので、歌ってみたを作るには十分すぎる機能を持ち合わせています。
ちなみにAbleton Liveは、ボーカロイドで数々の名曲を生み出した
“livetune”のkz氏が使っているDAWとしても有名で、“livetune”の“live”はAbleton Liveの“Live”から取っているそうです。
Ableton Live Liteの機能と性能
まずはAbleton Live Liteの機能について説明しておきたいと思います。
(最新版はLive 9 Liteとなっており、Live Lite8 をお持ちの方は、無償でバージョンアップできるようです。)
Ableton Live Liteの、特に歌ってみたを作る上で大切な機能としては、
- 最高32bit/192kHzのマルチトラックレコーディングで高解像度の音質で録音が出来る
- オーディオエフェクト等がプロジェクト内で使用数無制限
- VSTやAUといったエフェクトプラグインに対応しており、フリーエフェクト等を追加して機能を拡張できる
- WAVをはじめ、MP3やAIFF等の主要オーディオファイルをサポート
- 8つのオーディオトラックが使用可能
といった内容であり、他者の機能限定版DAWと比べても制約が少ないのが特徴です。
これに加えて、歌ってみたを作る上で重要なエフェクトプラグインも最初から装備されています。
具体的には、
- コンプレッサー
- 3バンドイコライザー
- リバーブ
- ディレイ
- コーラス
といった定番のエフェクトから、フィルターやユーティリティ等も用意されています。
(Ableton Live 9 Lite版)
※左からイコライザー、コンプレッサー、ディレイこれだけあれば、録音だけでなくエフェクトを駆使したミックスも楽しめますね。
Ableton Live Liteについてもっと詳しく知りたい方は、
公式ホームページも併せて参照すると良いと思います。
Ableton Live Liteで歌ってみたを作る方法~準備編~
それでは早速、Ableton Live Liteを使って、歌ってみたを作ってみましょう。
今回はAbleton Live Liteが付属する、優秀なマイクプリアンプを搭載したオーディオインターフェイス
Focusrite Scarlett 2i2
を使います。
マイクは、歌ってみたで定番中の定番であるダイナミックマイクの
SHURE SM58SE
を使用。
オーディオインターフェイスに接続するXLRケーブルは
BELDEN XLRケーブル
を選択しました。
それと適正な録音が出来ているかを確認するモニターヘッドホン
ATH-SX1a
も用意しています。
折角なので、パソコンとオーディオインターフェイスを繋ぐUSBケーブルは、音響用のノイズが少ない
d+USB class B/3.0
を使用して接続しました。
インストールとオーソライズ
オーディオインターフェイスにマイクとモニターヘッドホンを接続し、それをパソコンに接続しておきましょう。
また、パソコンは
インターネットに接続できる環境が望ましいです。
オーディオインターフェイス
Focusrite Scarlett 2i2 に付属するDVDにAbleton Live Lite 8が収録されているので、「Ableton Live Lite Setup」を開いてインストールします。
ちなみに最近はDVDではなく、バンドルコードが同梱されており、すべてインターネットでダウンロードする仕様に変更になったようですね。
インストール画面は英語ですがDAWは
日本語対応なので、恐れず「Next」で進めてください。
基本的には初期設定はいじらなくても大丈夫です。そのまま最後までインストールしてしまいましょう。
インストールが完了したら、続いてLive Lite8を起動します。
すると、オーソライズ(認証)画面が表示されます。
「ableton.comでオーソライズ」を選択し、アカウントを作成後、付属DVDのパッケージに記載されているシリアルナンバーを入力するとオーソライズが完了し、Live Lite8の画面に戻ります。
ちなみに、Live Lite8のオーサライズが済んでいれば、最新版の
Live 9 LiteもAbletonのサイトからダウンロード&オーサライズが可能です。
環境設定
ここからは、最新のAbleton Live 9 Lite で歌ってみたを実際に作っていきましょう。
まずは、Live 9 Liteを起動します。
一番最初に開いた時はデモソングが表示されますが、「ファイル」から「新規Liveセットを作成」を選べば以下のような画面になると思います。
※Live 9 Liteの画面最初は何をどういじったらいいのか分からないかと思いますので、順番に説明していきます。
まず、画面上部の「オプション」→「環境設定」を選択して、オーディオインターフェイスが認識されているかを確認します。
画面が開いたら、左側のAudioのタブをクリックすると、次のような画面になります。
まずはドライバタイプを「ASIO」というものに設定してください。
ASIOをわかりやすく説明すると、パソコンとオーディオインターフェイス間のオーディオデータをやりとりする際に生じる遅延=レイテンシーが非常に小さくなるドライバ規格のことです。
せっかくオーディオインターフェイスを使うので、迷わずASIOを選択しましょう。
続いて、オーディオデバイスをお使いのオーディオインターフェイスを選びましょう。
今回は、「Focusrite USB2.0 Audio Driver」を選択します。
ここで、サンプルレートを44100から数字を大きくすると、より高解像度の録音が出来るようになります。
デフォルトSR & ピッチ変換は高品質を選んでおきます。
レーテンシー以下の項目は、デフォルト(最初のまま)で、まずは様子をみてみます。
設定が済んだら、環境設定画面を閉じます。
トラックの設定と録音の準備
次は、トラックの設定を行います。
歌ってみたを作りたいので、まずはボーカル用のトラックと、カラオケ用のトラックの2つを用意しましょう。
画面中央の「1 Audio」という部分がトラックです。
その隣の空白を右クリックし、「オーディオトラックを挿入」を選択して、「2 Audio」を作ります。
※オーディオトラックを挿入しましょうやりかたはそれぞれですが、
- 1 Audioをボーカル用トラック
- 2 Audioをカラオケ用トラック
にすることにしました。
続いて、ボーカルトラックの設定を行います。
ボーカルの録音方法はいくつかあるのですが、今回はそのうちのひとつを紹介しましょう。
まずは、画面右上あたりにある横棒が三本のマークのボタンを押すと、「
セッションビュー」から「
アレンジメントビュー」に切り替わります。
※アレンジメントビューに切り替えるボタンアレンジメントビューはレコーダーの様に使う事を目的とした画面で、サウンドの録音を自由に行えます。
ボーカル録音に最適な画面表示にしたいので、アレンジメントビュー右下の
- 「I・O」=入力・出力セクションの表示/非表示
- 「M」=ミキサーセクションの表示/非表示
のボタンを押して黄色にしておいて下さい。
※この二つのボタンを押して、黄色にするこうすることで、アレンジメントビューで録音環境を整える画面が表示されるようになります。
つづいて、ボーカルトラック「1 Audio」の設定に進みます。
この時点では、オーディオインターフェイスとマイクやヘッドホンが接続されており、オーディオインターフェイスがLive 9 Liteで認識されていると思います。
ボーカルの録音はモノラルで録りますので、下の画面の様に入力を「1/2」から「1」に変更しましょう。
同じ画面の右上に録音ボタンがあるので、ボタンを押しておきます。(この時点では録音は開始されません)
※赤丸で囲った部分を画面と同じように設定しましょうマイクが音を適切に拾えるよう、オーディオインターフェイスのマイクが接続されているチャンネルの「GEIN」を調整しましょう。
上の画面では見づらいですが、赤丸の部分のメーターが振れますので、歌った状態でクリップ(音量入力オーバー)しないぐらいに調整して下さい。
クリップすると、Live 9 Liteのメーターが赤く点滅するので、すぐにわかると思います。
入力された音をその時点ですぐに確認したい場合は青丸の部分を「Auto」にすると、ワンテンポ遅れて入力された音を聴くことが出来ます。
実際に録音する時は、邪魔になると思うので、録音時にはOFFにしておくと良いのではないでしょうか。
録音出来ているか確認してみよう
録音本番の前に、ちゃんと録音できるか確認をしておきましょう。
画面上部には「
再生ボタン」「
停止ボタン」「
アレンジメント録音ボタン」が設置されています。
録音開始前には「停止ボタン」を押して、
必ずマーカーを開始位置に戻す癖をつけてください。
録音を開始するには「アレンジメント録音ボタン」を押します。
録音を停止・終了させるには「停止ボタン」を押してください。
早速、試しに録音してみましょう。
録音しながら、実際の音の波形が表示されていくのが分かると思います。
※録音を終えると、こんな感じで表示される録音した音を聴くには、「停止ボタン」で開始位置まで戻し、「再生ボタン」を押します。
どうですか?ちゃんと録音できていましたか?
カラオケ音源を読み込む
次にカラオケ音源をLive 9 Liteに読み込みましょう。
まず始めに「アレンジメントビュー」から「セッションビュー」に戻します。
右上の縦棒が三本並んでいるボタンを押してください。
続いて、画面の一番左側に「CATEGORIES」と「PLACE」いう場所があると思います。
この中の「PLACE」の欄の下に「+フォルダを追加」という項目があるので、カラオケ音源があるフォルダを選択しましょう。
歌ってみたのカラオケ音源の用意の仕方は「
歌ってみたのカラオケ音源の用意の仕方と著作権」で紹介しているので、用意の仕方が分からない人は参考にしてください。
新しく追加したフォルダを選択すると、カラオケ音源が選択できるようになっていると思います。
歌ってみたに使用するカラオケ音源をドラッグ&ドロップして、先ほど作った「2 Audio」トラックの一番上に張り付けましょう。
そうすると、画面下に音の波形が表示されると思います。
表示されない場合は、「2 Audio」に張り付けた音源をダブルクリックして下さい。
さて、この状態で再生すると…ちょっと音源にノイズがのったり、テンポがずれたりしていませんか?
そんな場合は、「Warp」機能が悪さをしているので切ってあげましょう。
加えて「Fade」機能も使わないのでOFFにしておきます。
※赤丸で囲った部分をOFFにしましょうさあ、これで歌ってみたを作る準備は終了です。
ここまでの作業は、馴れれば1分とかからない準備です。
それでは、実際に歌ってみたを作っていきましょう。
Ableton Live Liteで歌ってみたを作る方法~録音編~
歌の録音を行いたいので、再び「アレンジメントビュー」に切り替えます。
「停止ボタン」を押して開始位置まで戻した後、「アレンジメント録音ボタン」を押すと、先ほど読み込んだカラオケ音源を鳴らしながら、歌の録音ができます。
この際に、カラオケ音源が鳴らない場合は、「セッションビュー」で、「2 Audio」に張り付けたカラオケ音源のところの三角の矢印ボタンを押してみてください。
※録音と同時にマイクで拾う波形と、カラオケ音源が同時に表示されていくどうですか?ちゃんと歌が録音されましたか?
開始位置に戻して、再生して聴いてみてください。
ここで、歌が少し遅れて聴こえる場合は、画面下のサンプルディスプレイのスタートマーカーで、歌の再生開始位置を調整して、ぴったりと合わさるようにしてみましょう。
※赤丸で囲った部分を少し右にずらして調整カラオケの音源の音量が大きくて、歌が小さく聴こえてしまう場合などは、「セッションビュー」の画面下部にトラックレベルを調整するスライダーがありますので、そこを調整してみてください。
※赤丸の部分を下げてみるあとは、これをオーディオファイルに書き出せば、あなたの「歌ってみた」が完成します。
ちなみに今回は、アレンジメントビューを使用した録音を行いましたが、セッションビューからでも録音は可能です。
トラックの設定さえしておけば、上の画面のフェーダーの横にある青枠で囲んだ部分のボタンを押した後、
「1 Audio」の下に表示されている「〇」を押すことで録音することも可能です。
ご自分の使いやすい方法で録音してみてくださいね。
オーディオの書き出し
ここまで出来たら、あとは歌とカラオケ音源を合体させてオーディオファイルに書き出すだけです。
上部のメニューバーから「ファイル」→「
オーディオをエクスポート」を選択。
新しい画面が開きますので、
- 書き出されるトラックは「Master」
- 書き出しスタートが1.1.1になっている
- 書き出される長さが曲の長さと合っている
事を必ず確認してください。
また、オーディオの項目は、
- ファイルタイプ:「WAV」(Windowsの場合)
- サンプルレート:「44100」
- ビットデプス:「16」
- ディザーオプション:「Triangular」
で良いでしょう。
それ以降の項目については、すべて「オフ」で良いです。
最後に、「エクスポート」ボタンを押し、書き出されるファイルの名称と場所を指定してあげれば、あなただけの「歌ってみた」が書き出されます!
歌ってみたの音源と動画を合成するテクニックについては「
簡単!歌ってみた曲と動画を合成する方法まとめ」で紹介していますので、参考にして頂ければと思います。
まとめ
今回は、Ableton Live Liteで歌ってみたを作る方法として、一連の流れを説明してきました。
もちろん、Ableton Live Liteは製品版のAbleton Liveに比べると、トラック数や使えるエフェクト、ソフトウェア音源等に制限があるので、さらにMIX等を楽しみたい場合は、上位版の
Live9 Suite
や
Live9 Standard
、
Live9 Intro等にアップグレードするのもひとつの手でしょう。
歌ってみたのMIXについて詳しく知りたい場合は、「
歌ってみたとMixの美味しい関係」という記事から読み進めて頂くと良いと思います。
もともとAbleton LiveというDAWはダンスミュージック向けの印象が強いのですが、普通にボーカルを録音したり、エフェクトを使ったりすることは問題なく行えます。
特にAbleton Liveの
オーディオの編集機能は非常に強力で、Introを除く上位版であればオーディオのタイムストレッチやスライス等の機能が使えるほか、ロボットボイスに変更するエフェクト等も備わっているので、オーディオファイルを主に扱う「歌ってみた」作りにも大いに活用できるのではないかと思います。
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